この記事をまとめると
■路面を整備する「ロードローラー」の仕組みを解説
■「鉄輪」と「ゴムタイヤ」タイプが存在する
■2つの種類を使いわけて平坦で強固な道路を仕上げる
「踏むだけ」と思ったら大間違い
普段、クルマで快適に走っているアスファルトの道路。段差のない美しいフラットな路面が保たれている。その秘密は、道路工事の最終盤に登場する「ロードローラー(締固め用機械)」のおかげだ。一見するとただ踏み潰しているだけのように思えるが、そこには効率的な作業を可能にする数々の工夫と、異なる役割をもつ「ふたつの足まわり」の使いわけが存在する。
ロードローラーといえば、巨大な鉄輪(スチールドラム)だ。マカダムローラーやタンデムローラーなどに採用されている。この鉄輪は単なる厚い鉄を巻いただけの筒ではない。内部には作業効率を極限まで高めるために、機種によって違いはあるが高度な仕掛けが組み込まれている。
スチールドラム式ロードローラー画像はこちら
まずは振動機構。現代の多くの鉄輪内部には、偏心重りが仕込まれている。これを油圧モーターで高速回転させることで、鉄輪自体を激しく上下に振動させる。単に自重だけで押す場合と比べ、振動を加えることでアスファルトの粒子同士の隙間が効率よく埋まり、短時間で強固に締め固めることができる。
そして、散水・液剤噴射システム。敷きたてのアスファルトは110度から140度もの高温であり、非常に粘り気がある。そのまま鉄輪で踏むと、アスファルトが表面にくっついて剥がれてしまうので、鉄輪の表面に常に水を霧状に吹き付ける散水装置を装着している。また、前輪と後輪の幅や配置を絶妙にずらし、一度の往復で踏み残しが出ないような車体設計になってもいる。
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一方で、鉄輪ではなく複数の黒いゴムタイヤがずらりと並んだ「タイヤローラー(ピーコン)」と呼ばれるタイプも、道路工事では欠かせない存在だ。鉄輪型との最大の違いは、路面への力の伝わり方にある。鉄輪が路面に対して「線」で接地するのに対し、ゴムタイヤ型は空気圧による柔軟性を活かして「面」で接地する。さらに、左右独立して動くサスペンション機構や、前後のタイヤが互い違いに配置されていることにより、路面のわずかな凹凸に合わせてタイヤが変形。揉み込むような圧力を均等にかけることができるのだ。
両者はどちらが優れているというわけではなく、それぞれ得意分野が明確に異なっている。鉄輪型のメリットは、平坦性を出す能力が圧倒的に高いことだ。アスファルトの初期転圧や、最終的な仕上げで表面を鏡のように滑らかにする作業に威力を発揮する。対してデメリットは、柔軟性がないために路面に少しでもウネリや段差があると、それらが高い部分にだけ圧力が集中し、低い部分が踏み固められない「ブリッジ現象」が起きやすい。
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ゴムタイヤ型のメリットとして挙げられるのは、ゴム特有の揉み出し効果によりアスファルト内部の密度を均一に高めることができること。そのため、水をとおさない密閉性の高い路面を作るのに適している。ただ、タイヤとタイヤの隙間があるため、単体では完全にフラットな鏡面仕上げにできないことがデメリットといえる。また、低温時にはアスファルトがタイヤに付着しやすいため、保温カバーを巻くなどの対策が必要になる。
実際の道路工事現場では、まず鉄輪型がベースをカチッと固め、次にゴムタイヤ型が内部までしっかりと揉み込んで密度を上げる。そして、最後にふたたび鉄輪型が表面を美しく整える、という見事なリレー連携が行われている。安全で快適なドライブを楽しめる日本の道路は、これら性質の異なるローラーたちの緻密な計算と作業によって支えられているのである。