
この記事をまとめると
■軽自動車は新車販売の約27%を占める巨大市場である
■自社開発するのはスズキ、ダイハツ、ホンダの3社に限られる
■EV時代を迎え軽自動車が小型車普及の切り札になりそうだ
販売比率27%の巨大市場
自動車工業会の集計によれば、2024年の乗用車の年間新車販売台数は約327万台で、そのうち軽自動車は約120万台である。約27%の比率だ。この数字は、5ナンバー車といわれる小型車の約76万台より1.5倍以上多い。
中国のBYDは、あえて日本の独特な車両区分である軽自動車のEVラッコを発売した。日本の新車販売市場に占める軽自動車比率を見逃さないためだ。一方、国内すべての自動車メーカーが軽自動車を自社開発しているわけではない。たとえば、トヨタ、マツダ、SUBARUは自社開発していない。このうちSUBARUは、1958~70年に販売したスバル360が知られるように軽自動車にも力を注ぐメーカーの一社だった。現在も軽自動車を販売しているがそれはダイハツからのOEMである。マツダも同様だ。
SUBARUの事例が示すように、軽自動車市場はそれなりの存在規模をもつが、自社開発するには利益を出すのが難しくなっている。軽自動車を主力と位置付ける自動車メーカー以外採算を確保するのが難しい。
独自開発しているのは、スズキ、ダイハツ、ホンダの3社だけだ。日産自動車と三菱自動車工業はNMKVという合弁会社をつくり委託する手法をとっている。2社ぶんの軽自動車開発を行うことで開発原価を折半することになる。トヨタは、子会社であるダイハツからOEM供給を受け軽自動車販売を行っている。
したがって、自社開発を行っているかどうかを別とすれば、国内8社の乗用車メーカーはすべて軽自動車販売を行っていることになる。スズキとダイハツは販売競争を続けながら自社開発を継続している。ホンダは自社開発していなかった時期があるものの、軽自動車市場がそれなりの規模を維持していることから再開し、そうして誕生したN-BOXは軽自動車販売の1位を連続する人気だ。
単一銘柄ではN-BOXの強さが続くが、上位の複数車種での販売台数はスズキとダイハツも負けておらず、ホンダとしのぎを削っている。ホンダはN-BOX以外の車種で必ずしも強みを発揮できずにいるためだ。
軽自動車は冒頭のBYDの参入を含めEVとして活性化しそうな情勢がある。
4年前に日産サクラが発売になって以降EVの販売台数が伸び始めた。三菱はサクラと基本的に同じeKクロスEVを販売しており、NMKVの利点を活かし効率よく軽EVを開発・製造している。ホンダはN-VANe:で軽EVに参入し、N-ONEe:が続いた。2年後にはガソリンエンジン車で販売1位を堅持するN-BOXのEVを出す予定だ。
ダイハツが開発した軽商用EVをスズキとトヨタでも販売している。またスズキは、秋ごろをめどに独自の軽乗用EVであるeスカイを発売する予定だ。ほかに、EVベンチャー企業のASFが軽商用EVを販売している。中国のチェリー(奇瑞汽車)がオートバックスセブンなどと設立したEMTは、EMTAという軽EVを発売すると発表した。
軽自動車規格は日本独自の車両規定だが、N-ONEe:を基にした5ナンバーの登録車ホンダSuper-ONEが人気急上昇している。EVなら、しっかり開発された軽EVが登録車としても通用することを明らかにした。
EV時代を迎えるにあたり軽自動車開発に注力することこそ、小型車を含めEV普及の切り札となるかもしれない。
