
この記事をまとめると
■昔のクルマはクランクハンドルを人力でまわしてエンジンを始動していた
■反力で手をはじかれる危険な作業を解消するためセルモーターが考案された
■電気モーターでクランクをまわしスイッチひとつで始動できる仕組みが普及している
「エンジン始動」で死亡事故もあった
自動車を構成するメカニズムは膨大にあるが、それらをひとつひとつ見ていくと、どれも「なるほど」とうならされてしまうアイディアと工夫が凝らされている。思わず、先駆者・先人の知恵はすごいもの、と敬服することになる。
さて、そうしたメカニズムのひとつとなるのがエンジンの始動装置、いわゆる「セルモーター」だ。セルフスターターモーターが語源だが、自身でエンジンを始動(回転)させることができるモーター、というのがその意味だ。
初期の自動車のエンジンは、クランクシャフト部に鉄製の回転ハンドル(クランクハンドル)を差し込み、そのハンドルを回転させることでクランクシャフトをまわしてエンジンを始動させていた。クランクシャフトがまわることでそれと同期した点火装置がスパークプラグに火花を飛ばし、ガソリンが燃焼することでエンジンが回転した。
しかし、このクランクシャフトによるエンジンの始動方法は、思いのほか力が必要で危険な作業でもあった。クランクハンドルをまわすことでエンジンを回転(といっても始動時のごく低回転)させるわけだが、ピストンの圧縮圧力が反力となって働き、クランクハンドルをまわす方向とは逆方向の大きな力が生まれるからだ。この力によってクランクハンドルをまわす手がはじき飛ばされるケースが多々あった。打ち身、骨折はおろか、場合によっては死亡事故も起きていた。
自動車を運転するには、現代以上の運伝技術は必要だったが、それよりも自動車が走る前提となるエンジンを始動させることのほうが、よりコツや技術が必要だったのである。
