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飛行機を引っ張る巨大なクルマ、じつは「免許不要」って本当? 空港の制限区域を走る特殊車両の意外なルール

飛行機を引っ張る巨大なクルマ、じつは「免許不要」って本当? 空港の制限区域を走る特殊車両の意外なルール

この記事をまとめると

■空港ではさまざまな特殊車両が稼働している

■「GSE(Ground Support Equipment)」と呼ばれる車両の運用には資格が必要だ

■専門学校や専門の会社に入社してから必要に応じた免許を取得できる制度もある

空港で働くクルマを動かすのに必要な資格とは

 空港の展望デッキや飛行機のなかから駐機場(ランプ)を眺めていると、旅客機の足もとでせわしなく動きまわる「働くクルマ」たちに目を奪われたことはないだろうか。飛行機を誘導路までバックさせる巨大な「トーイングカー」、コンテナを数台牽引して走る「トーイングトラクター」、飛行機に荷物を積む「ハイリフトローダー」や「ベルトローダー」などが、航空機の地上支援業務で活躍している。これらは、通称「GSE(Ground Support Equipment)」と呼ばれる特殊車両である。クルマ好きなら、一度は「あんなクルマを操ってみたい」と思ったことがあるはずだ。

 では、あの一般の立ち入りが制限されている区域(ランプエリア)でGSEのドライバーになるためには、どのような資格やプロセスが必要なのだろうか。

 法的な観点からは、空港の制限区域内は公道ではないため、運転免許は必要ないといえる。しかし、実際の運用では運転技術を担保する意味合いから、普通免許の所持が絶対条件になっているようだ。これに加えて、国土交通省航空局(CAB)や各空港の管理会社が定めた独自ルールに基づき、「空港内運転許可(通称:ランプパス)」を取得する。ランプエリアは、航空機が絶対的に優先される特殊な空間である。定められた走行ルートはもちろん、時速15kmや30kmといった速度制限、航空機周辺での徹底した安全確認など、公道とはまったく異なる厳格な交通ルールが存在する。

 そのため、まずはグランドハンドリング会社に入社し、社内の座学や実技訓練を経たうえで、各空港の試験を受けて合格しなければならないのだ。

 ここで気になるのが、「トーイングカーのような巨大な車両やコンテナを牽引する車両を運転するには、大型免許や牽引免許が必要なのか? 」という疑問である。

 実際、安全管理の観点から、「大型自動車免許」「大型特殊自動車免許」「牽引免許」の所持を求めるケースはある。とはいえ、初めからそれを条件にすると採用に制限がかかるため、グランドハンドリングの会社は安全性や運転技術の担保と、人材確保の両立に腐心しているのが現状だ。

 では、公道に出られない特殊車両の運転練習は、いったいどこで行っているのだろうか。

 じつは、航空系の専門学校のなかには驚くべき設備をもつところがある。たとえば、中日本航空専門学校・日本航空大学校・成田国際航空専門学校などには、キャンパス内に空港さながらの広大な専用実習場が設けられているという。そこには実際に空港で使われている本物のGSE車両があり、学生のうちから実車を使ってコンテナ牽引などの車両感覚を学ぶことができるのだそうだ。

 また、グランドハンドリングの会社に就職してからの練習は、実際の空港内に指定されたエリアなどで行われる。基本的には、先輩インストラクターによるOJT形式だ。一定のカリキュラムをこなしながら、ランプエリア特有の走行感覚や危険予知を学ぶ。

 近年では、VRドライブシミュレーターで空港内のリアルな環境を再現し、安全に訓練を行う例も多い。自らの運転技術を活かし、航空インフラの安全と定時運航を根底から支えるこの仕事は、クルマ好きにとって非常にロマンあふれる職業のひとつといえるのではないだろうか。

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