
この記事をまとめると
■高い運転席と巨大な車体をもつ大型トラックには乗用車より広い死角が存在する
■メインミラーやアンダーミラーなど複数のミラーで車体周辺の視界を確保
■大型トラックの死角を理解し適切な距離を保つことが重大事故の防止につながる
知っておきたい大型車の死角
高速道路や幹線道路で真横に並ぶと、壁のようにそびえ立つ大型トラック。乗用車とは比べ物にならないほど巨大なボディをもつ彼らは、必然的に「死角」も大きくなる。トラックの横や後ろを走っているとき、「自分のクルマはドライバーから見えているのだろうか」と、不安になった経験があるのではないだろうか。実際に、大型トラックの運転席からは直接目視できない領域が多数存在する。それらをカバーするのが、各所に装着されているミラーなのだ。
乗用車や小型トラックの場合、ドライバーの目線は比較的低く、窓ガラス越しに直接目視できる範囲が広い。ルームミラーで後方を確認し、左右のドアミラーで側方を見るというシンプルな方法で事足りる。しかし、大型トラックは運転席の座面が地上から約2mを超える高い位置にある。
遠くの交通状況を見渡すには有利だが、車体の直前や真横といった「足もと周辺」は広大な死角となるのだ。さらに、多くが箱型の巨大な荷台を背負っているため、ルームミラーは役に立たない。近年はバックカメラと連動した電子インナーミラーの普及も進んでいるが、基本的には車体外側に備え付けられた複数のアウターミラーが命綱となる。
大型トラックは片側だけで2〜3個、フロントを合わせると4〜5個ものミラーが装着されている。そして、それぞれがまったく異なる役割を担っているのだ。車両前方の両側に装備されている大きなものが、「サイドミラー(メインミラー)」。乗用車のドアミラーに相当するが、縦に長く10m以上ある車体の後端までを確認できるようになっている。ただ、広範囲を映し出すために曲率の大きい凸面鏡が使われており、乗用車のミラーよりもものが小さく映る。すなわち、実際の距離よりも遠くに感じるという特徴がある。
「サイドアンダーミラー」は主に助手席側(左側)のドア付近や、前輪周辺の死角を映し出すためにある下向きのミラー。左折時の巻き込み事故を防ぐために重要な役割を果たす。フロントガラス上部から、バンパー付近を真下に向けて映し出すのは「アンダーミラー(丸ミラー)」だ。大型トラックは運転席が高すぎるため、すぐ目の前にいる歩行者・2輪車・背の低いスポーツカーなどを捉える。
プロのトラックドライバーは、これらのミラーを常に見ながら巨大な車体をコントロールしているのだ。乗用車であれば、左右と後ろを確認する程度で済むが、大型トラックは確認すべきミラーの数が多く、そこから得た情報をもとにドライバーが判断するのにも時間がかかる。
ドライバーが神経を尖らせているのが、左折時と車線変更時だ。とくに左折時は、メインミラーで車体後部の軌道(内輪差)を読みつつ、サイドアンダーミラーで歩行者や自転車、バイクが死角に入り込んでいないかを確認する。大型トラックは内輪差が極めて大きいため、少しでも確認を怠れば重大事故に直結する。
逆にいえば、まわりにいる歩行者・2輪車・乗用車などからすれば、大型トラックのサイドミラーに運転手の顔が映っていなければ、相手からも自分が見えていないということなる。大型トラックがどのような視界で、どれほどの注意を払って走っているのかを把握し、その「見え方の違い」を理解して、お互いの特性を尊重した運転を心がけることが、不幸な事故を防ぐ近道となるのである。
