道路は「パーセント」、鉄道は「パーミル」、スキー場は「度」。勾配表記がバラバラな理由と数字の中身

この記事をまとめると

■坂道の勾配には角度やパーセンテージ比率、千分率など複数の表記方法がある

■道路では高低差と水平距離から求める%表記が使われ鉄道では千分率が一般的

■勾配を距離と高低差で把握すればクルマの変速操作にも役立つ

坂道の勾配はなぜ%で表す?

 坂道の勾配を示す単位には複数の表現がある。一般的には、傾斜の角度を何度(°)という表現がなされ、たとえばスキーやスノーボードの斜面は20°とか30°といったいい方で、20°以上になればそれなりに急な斜面になる。

 かつての富士スピードウェイにあった1コーナーの30°バンクは、道の勾配ではないけれど、人が立っていられないほど路面が傾斜していることにより、長い直線路から速度を落とさずそのまま旋回できる設計であった。

 交通関係での勾配の表し方について、道路や自転車道などでは比率(パーセンテージ)で表され、たとえば10%といった表現になる。これは標高(高低)差と進む距離を割り算し、100を掛けてパーセンテージとしている。具体的には、10mの標高差を水平距離で100m移動する場合10%となる。クルマのトリップメーターで示される距離ではない点に注意だ。勾配は直角三角形の高さと底辺の長さからの計算であり、トリップメーターに示されるのは斜辺の長さとなるからだ。

 次に、1:nで示す表記がある。1:10と示されれば、上記と同じ10%勾配になる。この表現は英語圏の道路標識などで使われることが多いという。ほかに千分率表記と呼ばれる表現があり、0/00となる。意味は、1000m(1km)進んで10m上がる。これは鉄道でよく使われる。

 鉄道は基本的に鉄輪と線路の摩擦のみで動力を速度に変えるので、路線の傾斜はできるだけ抑えて設計される。それ以上の急な勾配を登る場合には、ラック鉄道と呼び、左右の線路の間に歯の付いた線路をもうひとつ設け、車両側には回転する歯車を装備し、互いに噛み合わせて登坂する。歯の付いた線路をラックといい、クルマのステアリングギヤボックスで使われるラック・アンド・ピニオンのラックと同様だ。

 以上の表記のうち、一般的に語られるのは度(°)といういい方だろう。一方、角度が大きければ急な坂になるとの情景は浮かびやすいものの、具体的な数値としての厳密性は比率や千分率が優れているだろう。運転しながら坂の勾配を把握するには、道路でよく使われるパーセンテージ(%)や英語圏でよく使われるという1:nの比率での表現であれば、100m進むと10m標高が高くなるとすぐに理解でき、わかりやすい。

 それによってマニュアルシフト(手動変速)車では、エンジンの出力を確保するためシフトダウンをするかどうかの目安にもなるだろう。逆に10°とか20°といった角度の表記では、数字が大きくなるほど急峻だと理解できるが具体的な坂のきつさは伝わりにくく、変速操作などの判断に迷うかもしれない。

 クルマにしても鉄道にしても、機械の能力を人間が引き出しながら移動する際は、移動する距離と上ったり下ったりする標高(高低)差を理解できるほうが即座に運転操作につなげやすいと考えられ、実際にそうした表記が用いられている。


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御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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