
この記事をまとめると
■トヨタのルーミーはデビューから10年経っても人気モデルだ
■ネット上では不満が多く聞こえるクルマとしても有名だ
■一般ユーザーはマニアほどクルマに興味がないので一般層に刺さる仕掛けがウケている
いろいろ気にするのはぶっちゃけクルマ好きだけ!
筆者はもちろんだが、いまやほとんどの人はなんらかのSNSを普段の生活で見ているはず(見てる時間は人それぞれだが)。そんなSNSは、その人の趣味嗜好を判断して、興味のありそうな情報を優先的に表示する傾向にある。その仕組みから、ラーメンが好きならラーメンの情報が多く出てくるし、アニメが好きならアニメ、芸能人が好きなら芸能人の情報が多く出てくる。
なので当然、筆者のようなにわかクルマオタクのSNSには、クルマ系の情報がじゃんじゃん出てくるわけだ。そこで先日、気になる投稿が目に留まった。それが「トヨタのルーミーって、ぶっちゃけなにがいいの?」という内容のものだった。そのなかには、「遅い」「安っぽい」「直進安定性が悪い」とネガティブな意見ばかり。これに対してのリプライ(反応)も「そのとおり!」「俺もそう思ってた!」と肯定の意見が多数。
しかし、この意見に対して賛同するのは見たところクルマ好きが大多数。なかには「レンタカーで借りたけどクルマに詳しくない俺から見ても酷かった」という意見もチラホラ。
ただ、そんなネット上の意見に反して、当媒体でお馴染みの「乗用車ブランド通称名別順位」における2026年4月~2026年9月分の上半期のデータでは5位、アルファード(6位)の上でありライズ(4位)の下という成績から、相当数売れていることがわかるはず。なぜこれだけ一部から酷評されているのに、世間では逆転した現象が起きているのか。
筆者自身はこのギョーカイで仕事しておきながらとくに新車の専門家でも、販売の専門家でもないのだが、その背景にはやはりトヨタの絶妙な戦略が隠されていると考える。
まず第一にルーミーのキャラクターだ。いまや貴重な5ナンバーサイズの1BOXタイプで、雑にいうならホンダのN-BOXやスズキのスペーシアといった、人気のスーパートール系の軽自動車をふたまわりほど大きくしたような形状をしている。明らかに使い勝手がよさそうに見えるのは、クルマ好きでない素人から見ても明白。フロントウインドウの面積も大きく、ダッシュボードも低いので運転に不慣れな人でも運転がしやすい。しかもシンプルなボックス形状で車両感覚も掴みやすい。
それと、これだけ軽自動車が世の中に普及し、メインカーを軽自動車にするユーザーが増えていても、「でも軽自動車はなぁ……」と避ける人がまだまだ多いという。しかしこのルーミーは立派な登録車。「スーパートールの軽自動車っぽい普通車じゃん!」と、これまた絶妙なポジションを得ている。
とはいえ、このクルマのライバルにはスズキのソリオが存在する。「ならソリオでもいいのでは?」となるのも自然な流れだが、ソリオは上位のランキングで見ると18位と、台数で見るとルーミーの約半分程度しか出ていない。この販売力の強さもトヨタの強みだ。
なぜなら、トヨタディーラーは全国で約4700店舗もあり、単純に割れば全国で各都道府県に約100店舗もある計算になる(実際は偏りがあるが)。一方でスズキは全国で1160店舗とその数は4分の1程度。もちろんディーラーのほかに町の修理工場などが運営する販売協力店などもあるので、実数はもっとあるが、じゃんじゃん人を呼んで販売するスタイルでないことから、それほどの影響力はないだろう。
