
この記事をまとめると
■復活を果たした三菱パジェロのプロトタイプに試乗した
■新型パジェロは新世代ラダーフレームと2.4リッターディーゼルターボで走りを刷新
■最新のS-AWCが駆動力と制動を緻密に制御してオンロードもダートも快適に走る
復活の新型パジェロの真価を試す
私のなかではパジェロといえば、パリダカールラリーを思い出す。当時はハイスピードのレースに没頭していたので、砂漠を爆走するクロスカントリーラリーにはあまり興味はなかったものの、三菱パジェロがトヨタのランドクルーザーや、無骨を極めたメルセデスのGクラスといった並み居る強豪を相手にオフロードラリーで戦う姿に感動を覚えていた。
2007年ごろの情景がいまも鮮明に蘇る。ある自動車雑誌の企画で、グローバルに活躍する2台のクロスカントリー・オフローダーである「ランドローバー・ディスカバリー」と「三菱パジェロ(4代目)」をニュルブルクリンク……ではなく、箱根のワインディングと荒れたダートへ連れ出したときのことだ。
英国皇室の気品を漂わせ、モノコックとフレームを融合させた構造で上質なオンロード性能と悪路走破性を両立していたディスカバリーに対し、パリ・ダカールラリーの幾多の勝利で世界にその名を轟かせたパジェロは、どこまでも泥臭く力強い現場力で勝負する「生粋のオフローダー」だった。
当時の2台に共通していたのは、昨今街にあふれる都市型SUVとは根本的に異なる血統だ。どんな過酷な道であっても走破し、生きて帰ってくるための「本質的なタフさ」──それこそが彼らの譲れないプライドだった。
しかし、当時の4代目パジェロは、どこか過渡期の苦悩を抱えていた。全長4900mmに対してホイールベースは2780mmというショート設定。フロント縦置きのFRベースにスーパーセレクト4WD-IIを組み合わせるメカニズムは質実剛健だが、時代の急速な高度化に対しては古典的な面影を残していた。3代目から採用していたラダーフレームとモノコックボディをハイブリットで採用する独自の車体骨格の上に、乗用車で培ってきた電子制御で武装したものの、その意味は筆者には理解に苦しむ場面もあった。
あのころの試乗では、バネ下の重さと格闘しながらコーナリングするたび、突如「ピピピッ!」と鳴り響くスタビリティコントロールのアラーム音が、いまとなっては懐かしいパジェロの記憶だ。
それから十数年。一度は国内の歴史から姿を消したパジェロが、2026年、ついに5代目として完全復活を遂げた。
2016年にメルセデスが発したCASEという次世代車のコンセプトに押されて、4代目パジェロは2019年に販売が終了した。海外で好調だったパジェロも2021年7月に終了し、パジェロの生産工場も閉鎖されることになった。ルノー日産の一員として、フラッグシップSUVとしての「パジェロ」は、一度完全に途絶えることになってしまった。
