【試乗】軟弱な都市型SUVとはモノが違う……のに高級感と静粛性がスゴイ! 蘇った「新型パジェロ」の王者っぷりを見せつけられた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■復活を遂げた新型三菱パジェロにクローズドコースで試乗

■オンロードでは静粛性と乗り心地を高めながら過酷な悪路も走破する実力を披露

■快適性と本格的な走破性を両立し三菱の新たな旗艦SUVとして期待される

新型パジェロに最速試乗

 三菱自動車がクロスカントリーSUV「パジェロ」を復活させた。1982年に誕生した初代は、本格的な悪路走破性と乗用車並みの快適性を併せもち、クロスカントリー4WDというジャンルを切り開いた存在である。惜しまれつつも、経済環境の悪化から国内向けは2019年に生産を終え、海外向けも2021年に幕を下ろしていた。

 そのパジェロが新世代のフラッグシップモデルとして再登場する。ブランドを象徴するパジェロの名を三菱がふたたび掲げたことは、三菱の四輪駆動技術に深くかかわってきた自身としても感慨深い。パリダカやアジアクロスカントリーラリーなどの悪路ラリーで鍛えた四輪駆動技術をもつ三菱が、いまの時代なら、どんなクロスカントリーSUVを作るのか。その答えが新型パジェロだ。

 新型はトライトンのラダーフレームを基礎に、キャビンと前後サスペンションを専用開発している。フレームは高張力鋼板の採用範囲を広げて軽量化し、断面積を拡大。ねじり・曲げ剛性を高め、ボディマウントも強化した。フロントサスペンションはダブルウイッシュボーン式独立懸架、リヤには新開発の5リンク式リジッドを採用。5リンクといっても左右個別ではなく、リジッドアクスルを5つのリンクで支えている。かつてパジェロミニにも採用されていた形式だ。

 優れたストロークと接地性を生かしながら、舗装路での自然な操舵感とフラットな乗り心地も狙っている。単にピックアップの車体にSUVのボディを載せたものではない。荒れた道を走り切る強靭さと、乗員を快適に運ぶ質を車体全体で作り込んだパッケージとなっている。

 車体寸法は全長4920mm、全幅1925mm、全高1910mm、ホイールベース2870mm。20インチタイヤ装着車の最低地上高は230mm(リヤデフケースの下端)が確保されている。前後重量配分は52対48となる。アプローチアングル30.4度、ランプブレークオーバーアングル22.6度、デパーチャーアングル25.8度で、スペック的にも悪路走破性の高さが見て取れる。3列7人乗り仕様もあり、2列目には150mmのロングスライドとタンブル機構を備える。

 試乗の舞台は袖ヶ浦フォレストレースウェイ。サーキットコースで一般道を想定したオンロード走行では、まず上質な車内の作りと静かさに驚かされる。ダッシュボードパネルやドアトリムにソフトマテリアルを用い、従来のクロスカントリー車の質実剛健な印象を大きく更新した。眼前には14.3インチのディスプレイを2枚連結したモノリスディスプレイが展開され、高い視認性に歴代車の3連メーターを受け継ぐマルチメーターとして高度、方位、温度、車体の傾き、AYC制御量などが表示される。

 フロントアンダーフロアビューは車両前方や下側の死角を映し出し、路肩や障害物との距離をつかむ助けとなる。4つのカメラ映像を活用する3Dマルチアラウンドモニターも備わり、大柄な車体で狭い道を走る際にも役立つ。前席からはボンネットの3つの隆起が見え、前端や車幅をつかみやすい。ヒップポイントも高く、シートを最低位置に調整しても見切りは良好だ。

 走り出すと、操舵に対する反応が素直で、ステアリングも軽く乗用車的だ。車体が大きく重いクロカンSUVにありがちな、入力から動き出しまでの応答遅れを感じない。ロックtoロックは3回転ほどで、切り返しもラクだ。車体と足まわりが別々に動くラダーフレーム車特有の感覚も抑えられている。リヤサスペンションはリジッド式だが、路面の継ぎ目を越えたときも突き上げを残さず、乗り心地はフラット。バネ下の重さを強く意識させず、一般的な乗用SUVに近い快適さがある。

 一方、コーナーではロールが早めに立ち上がり、着座位置の高さもあって傾きが大きく感じられる。重心の高いクルマの挙動を誤魔化さずに率直に伝える味付けだ。急制動ではノーズダイブ、加速では後ろ下がりの姿勢変化も起こる。近年の高出力と高性能を謳うSUVはアンチダイブやアンチスクォートが強く、姿勢変化を抑えているが、グリップ限界が掴みにくい。

 舗装路でスポーツカーのように攻めるモデルではないので、適度にストロークさせるほうが悪路や低ミュー路では接地性変化が自然に感じられるのだ。長いサスペンションストロークを確保し、荒れた道でタイヤを接地させることを優先した結果なのだと理解できる。シートは快適性を重視した大柄な形状で、サーキット路面の高ミューでのコーナーでは横Gで体が動くが、ゆったりクルージングする用途には合っている。

 ダイヤルを2Hにして後輪駆動で走りはじめると、タイヤとホイール周辺にわずかなタイヤ由来と思われるブルブルとした振動が伝わる場面があった。4Hに切り替えると車体の落ち着きが増し、この振動感も小さく感じられた。濡れた路面では4WDの安定感が明確で、加速時のトラクションにも余裕が生まれる。モードを切り替えてから駆動系が成立するまでには少し時間がかかるが、走行状態を確認しながら機械系が切り替わる過程を感じられる。

 オンロード用の2HではNORMALとECOが選択でき、4HではNORMAL、GRAVEL、SNOWが選べるなど、トランスファーの設定に応じて使用可能なドライブモードも変わる。

【中谷明彦氏による新型パジェロ試乗動画も公開中】


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
JEEPラングラーPHEV
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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