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【試乗】これぞSTI最強モデル! SUBARU WRX STI TYPE RA-Rの強烈な戦闘機っぷり (2/2ページ)

【試乗】これぞSTI最強モデル! SUBARU WRX STI TYPE RA-Rの強烈な戦闘機っぷり

細部まで手を入れた軽量化でノーマルWRX STIの10kg減

 STIの創立30周年記念として、WRX STIをベースとするコンプリートカー「TYPE RA-R」が発売された。

 限界性能を高めるチューニングを施して軽量化。初代WRXから走りに特化したグレードとして設定される「RA(Record Attempt)」に、ラジカルやレーシーと入った意味を込めた「R」の文字を付与。純粋に速さを追求し、クルマとしての本質である走行性能を極限まで突き詰めた500台の限定車となる。

「RA-R」といえば、2006年に発売された2代目WRXの最終型スペックCをベースとしたスパルタンな仕様が思い出される。スペックCはラリーなどの競技に参戦することが前提のコンペディションカーで、ウインドウガラスの肉厚を薄くしたりするなど、快適性を犠牲にしてまで走りを突き詰めたモデルだった。

 サスペンションのセッティングはかなりハードなもので、タイヤはサーキット走行向けの専用品を装着するなど、その過激な乗り味が話題となり、いまだに多くのSUBARUファンの間で語り草になっている。果たして、今度の新しい「RA-R」は、旧「RA-R」の再来と呼べるのだろうか?

 今度の「RA-R」でも遮音材の一部を省いてウインドウウォッシャー液のタンクを小さくしたり、リヤワイパーやリヤフォグランプ、リヤシートのアームレスト、ヘッドライトウォッシャーも省いたりするなど、グラム単位での涙ぐましい軽量化を積み重ねている。といっても、ノーマルのWRX STI比で10kg軽くなっているに過ぎないから、スペックを見てガッカリした人は少なくないだろう。

 STIコンプリートカーではお馴染みのフレキシブル系のパーツは付かないし、架装されるエアロパーツは専用のフィン付きカーボンドアミラーのみで、リヤウイングやリヤスポイラーも付かない(STI製のオプションは設定される)ところは潔さを感じさせるが、特別感はほとんどない。特別感を出すと価格が跳ね上がるし、装備を簡素化する方向性そのものは強く共感できるが、装備の簡素化は一般のユーザーでもやれるので、もう少し「メーカーにしかできない特別な仕様や装備」が欲しかったところだ。

 パワートレインは、まさに「メーカーにしかできない特別な仕様」で、STIのコンプリートカーで実績と伝統のあるバランス調整済みのEJ20エンジンを搭載する。重量公差を量産比で50%低減したピストン&コンロッド、回転バランス公差を85%低減したクランクシャフトを採用。さらに回転バランス公差を50%低減したフライホイール&クラッチカバーも採用し、完熟にして究極のEJ20の官能性を味わい尽くせる仕様となっている。背圧を下げたマフラーもその効果には定評があるところだが、これもS208と同じ仕様。

 サスペンションは、KYB製のダンパー以外は去年発売されたS208とほとんど同じという。今度のKYB製ダンパーはS207/208で採用されたビルシュタインのダンプマチックⅡと呼ばれるダンパーよりもシンプルな機構で軽いらしいが、正直なところ、内容を見るとパワートレイン以外はノーマルとあまり代わり映えしないとの印象を受けた。

 2代目WRXの頃とは時代も違うし、STIの限定車の客層も変わってきているから、昔のようにガラスまで薄くした競技車のようなクルマは出しづらいのは理解できる。しかし、「RA-R」と名乗るからには、前述した旧「RA-R」のようなとんがった特性の過激な走りに期待する人は多いので、その点が気になった。

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