WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

水に浮かぶSUVに踊るスーパースポーツカー! 中国車の尖った技術を見て「日本車は抜かれた」の論調は果たして正解なのか? (2/2ページ)

水に浮かぶSUVに踊るスーパースポーツカー! 中国車の尖った技術を見て「日本車は抜かれた」の論調は果たして正解なのか?

この記事をまとめると

■中国車のなかでもBYDは最新技術の開発や商品展開力に勢いがある

■日本車は遅れをとっているが信頼性などの面ではまだまだリードしている

■中国メーカーの進展が早いのは明らかで日本メーカーは追い抜かれる可能性が高い

中国車の勢いが止まらない

 中国車の台頭は、いまや世界中の誰の目にも明らかだ。とりわけ注目すべきは、BYD(比亜迪)をはじめとしたEVをメインとしたメーカーによる、技術革新と商品力の急速な進化である。ここ最近、話題になっているのが、BYD(YANGWANG)が本国で展開するフラッグシップSUV「U8」とスーパーカーの「U9」だ。これらを前にして、「日本車はもう終わった」「もはや中国車のほうが上だ」という声さえ聞こえてきそうだ。だが、本当にそうなのだろうか。

 過去30年以上、自動車ジャーナリストとして世界中のクルマを見てきたが、この問いに対する答えは決して単純ではない。確かに中国車の一部は技術的にもデザイン的にも日本車を凌ぐインパクトをもち始めている。しかし、それが「優れている」という評価とイコールかといえば、話はそう簡単ではない。

■BYD U8/U9が見せる「スゲー」の正体

 まずは話題のBYD U8。これは1台2000万円近いプレミアムSUVであり、4基のインホイールモーターを搭載し、戦車のような“その場回転”(超信地旋回・タンクターン)も可能というユニークな走行性能をもつ。しかもEVとしてだけでなく、エンジンを発電用に搭載したPHEVシステムを採用しており、実用性と先進性のバランスも取れている。水上を浮いて走るデモンストレーションには度肝を抜かれた。

 スポーツカーのU9はさらに尖っている。1000馬力級の出力を誇るピュアEVスーパーカーでダンスするように車体が上下するアクティブサスペンションや、航空機を彷彿とさせる内装など、まさに「ショーケース」としての魅力を満載している。

 確かに、この2台はスゴイ。けれど、その“スゲー”の多くが「見せるための技術」であるという印象も受けるのだ。欧州の名だたるサプライヤーが中国に生産拠点を設置し、デザイナーやエンジニアの引き抜きも多い。新興自動車メーカーといえども確立された技術を導入して競争力を高めているのである。

 一方、日本車はどうか。最近の国産車は全体的に保守的になったと感じる。だが、そこには理由がある。

 たとえばトヨタのハイブリッド車は、すでに製品として25年以上の実績をもち、信頼性・経済性・環境性能において非常に高い水準を維持している。ホンダのe:HEVや日産のe-POWERも含め、走行性能と燃費性能を高度に両立させており、長年の信頼性も加わって多くのユーザーに支持されている。

 また、品質管理や耐久性という点でも、日本車は依然として世界のトップレベルにある。過酷な環境下でも安定して動作するクルマをつくるノウハウ、素材選びから生産ラインに至るまでの緻密な設計力は、短期間で追いつけるものではない。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了