
この記事をまとめると
■トヨタ・カローラが一部改良で多くのメーカーオプション装備が標準化された
■その背景にはコストカットと生産効率向上という事情が
■オプション選択の自由から標準装備のシンプル化へと時代が移行しつつある
標準装備で機能を充実させる理由
2025年5月9日、トヨタはカローラセダン、同ツーリング、同スポーツの一部改良実施を発表した。3タイプ共通の改良ポイントとしては、改良前にはラインアップされていた純ガソリンエンジン車を廃止し、HEV(ハイブリッド車)のみとした。また、改良前はメーカーオプション扱いだった機能・装備を標準装備として商品力の向上が図られた。そしてアクセサリーコンセント(メーカーオプション)選択時には、給電アタッチメントが標準装備となった。
もともとメーカーオプションだったが標準装備となった機能は数多い。カローラセダンを例にすると、下記となる。
●ドライブレコーダー前方+バックガイドモニター(簡易録画機能付き)[W×Bグレード]
●ブラインドスポットモニター+安心降車アシスト・パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)[W×BとGグレード]
●205/55R16タイヤ&16×7Jアルミホイール・LEDフロントフォグランプ[Gグレード]
●デジタルキー・ディスプレイオーディオplus[W×Bグレード]
●7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ[Gグレード]
このうち、7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイについてであるが、この変更によってGグレードではアナログメーターは選択できなくなった。余談だが、筆者が改良前に1.5リッター3気筒エンジンを搭載するGグレードを購入した際は、マルチインフォメーションディスプレイをオプション選択していた。
そのほかのグレードにも目を向けて整理すると、W×Bには従来から標準の12.3インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ、前述のとおりGには7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ、そしてXにはアナログのタコメーターとスピードメーターと4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイの組み合わせが標準装備となった。
じつは2025年2月末に改良を行ったヤリスクロスでも、今回のカローラ系(セダン・ツーリング、スポーツ)のように、メーカーオプションだったいくつかの装備が標準装備とされている。販売現場で聞くと、「メーカーオプションを標準装備化することはコストダウンにつながる」と説明してくれた。
聞いた話だが、その昔、あるメーカーのあるコンパクトカーを大手小売りチェーンが店舗管理者の店舗間移動用に大量発注した。その際、この大手小売りチェーンから「標準装備されているリヤワイパーはいらない」との要請があったという。
しかし、そのクルマにはリヤワイパーレスのメーカーオプションは存在していなかった。今回のためだけに、新たにリヤワイパーレスのオプションコードを生産ラインに設けると全体のコストアップにもなるとのことで、納車後改造扱いでリアワイパーが取り外されたということがあったそうだ。
たとえば、筆者の迫られた選択のように、アナログメーターが標準でデジタル計器盤がオプションで選べるとすると、同じグレードで2種類のメーターが存在し、オプション発注コードの有無などを生産現場ではそれぞれ対応しなければならないので、そのような手間が車両価格にも反映されてしまう。
現状では標準装備化で価格を下げるということではなく、諸物価や人件費高騰分をそのまま価格反映させる(値上げ)のではなく、コストダウンをはかり値上がり幅を抑えようとのことでこうした仕様変更が行われているように見える。