
この記事をまとめると
■2リッターV6を搭載しJTCCを意識して登場したランティスには先代モデルがあった
■ファミリアアスティナ/ユーノス100はスラントしたハッチをもつ5ドアモデルだった
■ファミリアセダンは欧州未展開だが現地では323シリーズとして多彩な兄弟車が存在した
ランティスの影に隠れた先代モデル
当時、開催されていたJTCCに参戦することを意識し、170馬力を発生させる2リッターV6エンジンを搭載したことで、コアなマツダファンを中心に根強いファンのいるランティス。
ボディタイプはクーペ風のスタイルをもった5ドアハッチバックと4ドアセダンが用意されるが、当初はそれぞれ別車種として開発されていたということもあって、両車のデザインに共通点が少ないということでも話題を集めることのある1台だ。
そんなランティス、日本では1世代のみで終売となってしまっているが、じつは海外ではとある車種の後継車種となっているのだ。それがファミリアアスティナ/ユーノス100である。
7代目ファミリアの5ドアハッチバックモデルとして1989年に登場したファミリアアスティナ(4月発売)/ユーノス100(11月発売)は、ファミリアシリーズとしてプラットフォームなどは共有しながら、リトラクタブルヘッドライトを採用し、インストルメントパネルも専用品が用意されるなど、スペシャルティモデルという役割も与えられて登場した。
両車は基本的に兄弟車関係となっていたが、ユーノス100のほうがやや上級なものとなっており、アスティナに存在しなかった1.8リッターエンジンを搭載し(のちにアスティナにも搭載)、本革シートを設定するなどしていた。
このファミリアアスティナ/ユーノス100は、スラントしたリヤハッチをもつ5ドアハッチバックモデルが不評だった日本では残念ながら人気とはならなかったが、逆にこういった5ドアハッチバックを好む欧州では人気車種となり、ランティスが後継車種となったというワケだ。
なお、欧州でのファミリアは「マツダ323」として販売がなされており、ファミリアアスティナ/ユーノス100は、「323F」として販売がなされていた。そして、後継車種のランティスも同じく323Fとして販売されており、この“F”はファストバックの頭文字を意味していると思われる。
ただ、ランティスセダンは欧州では販売されておらず、ファミリアセダンを「323S」、ファミリアネオを「323C」、遅れて登場した3ドアハッチバックモデルは「323P」として販売しており、現地のカタログなどにはこの4車種がファミリーとして掲載されていて興味深いところだ。
ちなみにランティスが終売したあとは、同クラスにクーペ風の5ドアハッチバックモデルは存在していないが、日本で「ファミリアSワゴン」として販売されていたモデルが、欧州では「323ファストバック」として販売されていたので、やはりランティスはファミリアの系譜ということになるのだろう。