
この記事をまとめると
■大阪・関西万博のパビリオン「未来の都市」にてクボタがトラクターを展示中だ
■「Type:V」と「Type:S」は完全無人プラットフォームロボットだ
■今後は一般的に利用され当たり前に見かける機械になる可能性も秘めている
クボタが開発するコンセプトトラクターの実力
開幕前はなんだかんだ物議をかもしたものの、結局のところは大好評のまま10月13日に閉幕する大阪・関西万博。各国のさまざまなパビリオンが人気を博したが、我が国の農業を支えるきわめて重要な企業のひとつである株式会社クボタは、プラチナパートナーとして協賛するパビリオン「未来の都市」にて、未来の汎用プラットフォームロボットのコンセプトモデル「Type:V」と「Type:S」を展示した。
そんな「Type:V」と「Type:S」は、写真上で見るとおりの夢のようなプラットフォームロボットなわけだが、「夢のような」といえば、クボタは1970年に開催された前回大阪万博のクボタ館でも「夢のトラクタ」を展示していた。
当時の夢のトラクタだった「クボタ ユメトラ タレント25」の現物は残っておらず、資料もほとんどないそうだが、「農作業を快適に」という想いからキャビン付きの形状となり(どことなくSUVっぽいフォルムがカッコいい!)、当時は住宅にすら普及していなかったエアコンを完備していたようだ。
そんな「夢のトラクタ」の発表から55年。クボタのトラクタはその後、どのような進化を遂げたのだろうか?
クボタは1947年にディーゼルエンジン搭載の歩行型耕運機を発売。日本の農業の生産性向上に大きく寄与したわけだが、歩行型ではない「乗用トラクタ」の国産品はまだ登場しておらず、農業従事者の皆さんは歩行型耕運機をせっせと押しながら農作業を行っていた。
しかし、1960年には純国産の畑用乗用トラクタ「T15型」がクボタから発売され、1962年には初の水田用乗用トラクタ「L15型」も発売。時代は「歩く農業」から「乗る農業」へと変わっていったわけだが、まだまだ運転席はむき出しのキャビンレスであったため、「夏は熱く冬は寒い」という状況ではあった。そして快適性や安全性も二の次だった。
そんな時代を経て1970年の大阪万博で展示されたのが、前述の「ユメトラ タレント25」だったわけだ。そして1980年代に入ると「付加機能による作業効率向上」の時代へ突入し、クボタは自動水平制御技術「モンローマチック」(1981年)や「倍速ターン機構」(1986年)、そして懐かしの「マイコン」による作業機の自動制御技術も、同じく1986年に開発した。
その後、1992年には「ノークラッチ変速機構」が開発されたことで、トラクタもAT時代に突入。さらに2000年代にはeアシスト旋回、eクルーズなどの省エネ・省力機能が開発され、2010年代には「精密農業によるムダの排除」と「自動化による超省力化」が推進された。