
この記事をまとめると
■路線バスの減便・廃止の裏にはバス運転士不足がある
■バス運転士は給料が安く年間休日数が少ないなどの理由でなり手が減っている
■バス運転士のシートは座布団のようにクッションが薄く業務も過酷だ
いまバス運転士が足りない
路線バスの減便や路線廃止といった報道を目にしない日のほうが少なくなっているように感じる。その背景には、運転士不足があることを多くのひとが承知のことと思う。
「給料が安い」「年間休日数が少ない」「カスハラ(カスタマー・ハラスメント)が耐えられない」などを理由として、運転士の高齢化による引退がただでさえ多いなか、現役運転士の離職も目立ち、新規の運転士採用が思うように進まない(運転士を志すひとが少ない)。その結果、深刻な運転士不足が全国的に発生しているのである。最近ではインバウンド(訪日外国人観光客)の路線バス利用も目立って増えており、「外国語でのやりとりに悩まされるとは思っていなかった」と運転士を悩ませているようだ。
2022年5月13日より大型二種免許の受験資格が緩和され、19歳以上で普通免許取得から1年以上経ち、一定の教習を終了すると大型二種免許取得が可能となった。新型コロナウイルス感染拡大期の大幅収入減とその後の利用客減少もあり、多くのバス事業者は苦しい経営が続いている。それでも地方では、バス会社は地域において歴史のある大きな会社という存在の事業者も多く、運転士を志す若者もいるようだ。
しかし、採用した事業者が、地元メディアや自社のリクルート活動などでそんな若者を“広告塔”のように露出させることがあまりに多く、それに嫌気がさして早期に退職してしまうという事態も起こっているようである。
休憩室や仮眠室の充実など、就労環境の改善に奔走してひとりでも多く運転士を採用しようとする事業者も多いが、運転士の仕事場の中心となるバスの運転席の改善が進んでいないとの指摘も現場でよく聞く。運転席についてはいくつか種類があり、それを発注事業者が選択するのだが、路線バスで多く見かけるのは通称「座布団」と呼ばれる、ヘッドレストもないシートである。
もうすぐ還暦を迎える筆者だが、それこそ幼稚園に入るか入らないかのころから路線バスの運転席をガン見してきたのだが、見た目はその当時とほぼ変わらないように見える。事業者にとってはヘッドレストのついたちょっといい感じのするシートを選ぶ事業者もあるが、座り心地など機能性ではほとんど変わらないとの話も聞く。
