
この記事をまとめると
■ハイパフォーマンスモデルの陰でその車種の標準車は目立たない傾向にある
■モデルによってはベース車でも操縦性と完成度など実力は極めて高い
■中古では標準車が割安となるため走りと価格の両面で賢い選択肢となる
評価されにくい優等生たちの実力
「血をわけた兄弟なのにどうしてこんなにできが違うのか……」、親がこんなことをいって嘆いたとしたら、いろいろ許されないと思うが、クルマの場合、同時期に生まれた同じ車名のクルマでも、標準車とそれをベースにしたハイパフォーマンスバージョンでは世間の評価がえらく違う場合がある。
しかし、ハイパフォーマンスバージョンの評価が高いクルマは、標準車も傑作車だった場合がほとんどだ。
そこで名高いハイパフォーマンスバージョンの陰に隠れて、いまひとつ日の目が当たらなかった標準車たちをいくつかピックアップしてみよう。
スカイライン(R32、R33、R34)
日本が世界に誇るハイパフォーマンスカーといえば、日産が生み出したGT-Rシリーズ。とくにR32、R33、R34の第2世代GT-Rは、いまや国境を越え世界中のスポーツカーファンから愛されている。
その第2世代GT-RのベースになったFRバージョンのスカイラインも、とても優れたスポーツモデルだった。R32のタイプMは、日産の901活動のなかでFRスポーツの傑作車であるポルシェ944ターボを仮想ライバルに、走りに磨きをかけていったクルマだったし、R33のタイプMは、エンジンが2.5リッターになってターボなのにエンジンの圧縮比を上げ(8.5→9.0)、過給圧を低めにするというレスポンス重視の「リニアチャージコンセプト」を採用。
可変バルタイ(NVCS)もついて新次元のドライバビリティを得た。そしてR34の25GTは、ドライビングボディと呼ばれる直6最後のスカイラインにふさわしい、当時としては極上のボディが光っていた。
BMW各車
BMWのMモデルには、当然それぞれベース車がある。M2なら2シリーズ、M3なら3シリーズ、M4やM5もそれぞれ事情は同じだ。
それぞれベースに普通のセダンやクーペがある。実用車として優れたセダンやクーペを作り、そこにとびっきりのエンジンとシャシーチューニング、そして軽量化を加えて高性能車を作る。スカイラインGT-Rシリーズにも共通する流れだが、これが走りに深みを加え、乗りやすさに貢献しているのは間違いない。BMWは、Mモデルは当然として、そのベースモデルに乗っても走りに満足できるところが素晴らしい。
スイフトRS
いまや貴重なコンパクトスポーツの代名詞になったスズキのスイフトスポーツ。誰もが認めるコスパのいいホットハッチだが、「RS」も「走りを追求したスポーティグレード」としてなかなかの実力だった。足まわりは程よく引き締まっていたし、5速MTがあったのもよかった。
