
この記事をまとめると
■「2025フォーミュラジムカーナ Rd.4最終戦」が富士スピードウェイで開催された
■ブリヂストンブースでは企業と学生が将来のキャリアを真剣に語らう姿があった
■スーツを着ない就活がクルマ好き学生のキャリアとクルマ文化を動かし始めている
走りだけでなく学生と企業が同じ目線で話せる場
日本中の大学や専門学校を含めた自動車部が競いあう学生ジムカーナ競技の全国大会である「フォーミュラジムカーナ」。2025年からの参戦車両は、男子がトヨタ GR86、女子は日産ノートオーラNISMOのワンメイクで、タイヤなども同銘柄に揃えたイコールコンディションの大会となっている。各予選大会で勝ち残った男女各9校が集まった「2025フォーミュラジムカーナ Rd.4最終戦」が、富士スピードウェイのマルチパーパスドライビングコースで、2025年11月1〜2日に開催された。
この大会は、タイムや順位を競う競技パートだけでなく、クルマ好きの学生と企業をつなぐ「スーツを着ない就活の場」として機能するリクルートパートがあることも大きな特徴だ。会場には複数の出展企業がブースを構え、製品紹介や技術説明、さらには今後のキャリアの相談まで受け付けている。いわゆる企業合同説明会のように堅い雰囲気ではなく、走りやセッティングの会話をキッカケに、就職やキャリアの話にまで踏み込んでいく。このナチュラルさが、フォーミュラジムカーナならではといえる。
ブリヂストンがフォーミュラジムカーナに協賛する理由
タイヤメーカーのブリヂストンは協賛という形で大会を支える企業のひとつであり、かねてからおもに4輪と2輪レースのサポートを行ってきた。
しかし、「プロの世界だけを見ていてもモータースポーツの未来は明るくなりません。フォーミュラジムカーナのように若い世代がモータースポーツを楽しめる環境を協賛という形で支え、タイヤをもっと知ってもらうことで、モータースポーツの裾野を広げたいんです」。そう語るのは、同社のイベント・モータースポーツ推進課に所属する武田洋平さんだ。
「2025フォーミュラジムカーナ Rd.4最終戦」では、競技車両にブリヂストンのハイグリップタイヤ、「ポテンザRE-71RS」が装着される。このような高性能なタイヤは、学生にとって高い買い物になってしまうために、なかなか履くことができない。しかし、ここでは協賛品として供給されるため、ドライバーの学生たちが自分の手でステアリングを握り、同社のハイグリップタイヤで全開にして走れる貴重な場になっている。
武田さんは「イベントを通じて、学生から直接タイヤの評価を聞けるのが嬉しいです」と話し、学生からは「こんなにグリップするならお金を払う価値があります」、「いままで使っていたタイヤとの違いに驚きです」といった声が多く挙がってきたという。ブリヂストンの高い技術力を学生たちに体験してもらえる、マーケティングの場としても機能しているというのだ。
学生との対話で見えてきた若者の声
学生との対話のなかで、ブリヂストン側にも新しい発見があった。武田さんは「ポテンザなどのハイグリップタイヤを履きたくても、新品だと高くて買えない学生が想像以上に多い」と感じたという。その一方で、「限られた予算のなかで中古のポテンザを購入し、なんとか性能を味わおうとする学生も少なくなかった」そう。
つまり、若い世代は、ハイグリップタイヤやモータースポーツに興味をもっていないわけではない。むしろ「本当は履きたい」「本当は走りたい」という、潜在的な学生の気もちがいままで伝わってこなかったのが、ブリヂストンとしては衝撃だったとか。これまでよりも、若者に積極的にアプローチしていく必要があるという危機感と手応えを、フォーミュラジムカーナの現場でつかんだようだ。
