
この記事をまとめると
■荷役作業と長時間の荷待ちが長距離ドライバーを疲弊させている
■倉庫側の運用やJust in Time思想が時間調整や場外待機を常態化させたといえる
■日野とHacobuが車両位置を可視化し荷待ち実態を把握するシステムを構築した
データに基づく改善によって物流現場の環境を変える
長距離トラックドライバーの仕事は過酷だとされる。確かに、長時間運転するのは大変な仕事だろう。しかし、実際に彼らを悩ませているのは運転よりも、出荷元・着荷先での荷積み・荷降ろしや荷待ちなのである。倉庫の状況にもよるが、トラックに荷物を積むときには、一般にプラットホームと呼ばれる荷役場が使用される。トラックはここに荷室の開閉部を着けて積み降ろしを行う。
トラック荷室の積み降ろしは、安全に走れて荷物を傷つけないような積み方や固定の仕方があるために、ドライバーに任すことが望ましい。しかし、プラットホームから倉庫のなかや保管棚までの運搬は、倉庫作業員が行う仕事だ。ところが、これをドライバーに行わせる例が少なくないのである。また、プラットホームを使用せずにウイング車のサイドなどから、パレットに載せた荷物をフォークリフトなどで積み降ろしする場合も、作業の流れで倉庫内に運ぶように求められることがあるという。
荷待ちとは、倉庫に到着したトラックが入場まで待機を求められること。本来なら、倉庫敷地内の駐車場などで待てればよいのだが、駐車場が少ないと外で待機を強いられる。倉庫管理上の理由で入場時間が指定されることが多々あるが、長距離移動は渋滞などで時間のずれが生じやすい。ドライバーは移動途中や倉庫付近で、時間調整をしなければならないことも少なくないのだ。
こういった問題の背景には、「Just in Time」という「必要なものを」「必要な時に」「必要なだけ用意する」という、荷物ありきの効率的な考え方がある。ゆえに、こういった問題を解決するには、まずトラックの動きを正確に知ることから始めなければならない。そこで、日野自動車は物流のDX化を推進するHacobu・日野グローバルロジスティクスとプロジェクトを組み、新たなシステムの構築に動き出したのである。
その仕組みは、Hacobuの動態管理システム「Movo Fleet(ムーボ・フリート)」をトラック向けに機能を拡張させ、位置情報をリアルタイムで把握するというものだ。拡張する内容は、「配送計画ダッシュボード」にGPS測位・データの補正・クレンジング機能(収集したデータを整理・整合し、正確かつ一貫性のある情報として利用する機能)である。
具体的には、トラックのシガーソケットに発信機を装着し、その信号をもとにGPSで位置を特定する。この位置情報は、拡張機能によって工場構内の細かな位置の差異による誤判定を防ぎ、ドライバーが操作することなくトラックごとの入庫・出庫時間を高精度に取得することができる。これにより、トラックごとの動態傾向分析や荷待ち発生のリアルタイム把握が可能となり、個別の対応や改善ができるようになるというわけだ。
もちろん、このシステムはあくまでデータを把握してトラックの動態を知るものであって、ただちに荷役・荷待ちを軽減するものではない。物流現場がこういったデータをもとにより効率的な輸送の仕組みを考え、誰もが安心して働ける職場環境を整えることが大切なのだ。3社の取り組みが物流業界を動かし、業界全体の意識改革につながることを願ってやまない。
