この記事をまとめると
■日本導入が決定したアキュラ・インテグラタイプSをシビックタイプRと比較
■基本メカを共有する兄弟モデルだが内外装や足まわりなどいくつかの差異が存在する
■走り重視のシビックタイプRに対しインテグラタイプSはラグジュアリー志向といえる
兄弟車だけに気になる違い
日米通商交渉における関税引き下げを背景に、国内自動車メーカー各社が自社の米国生産車の輸入を検討、ないし決定しているのは周知のところだろう。トヨタはハイランダー、カムリ、タンドラの3車種導入を決定し、つい先日にはホンダがアキュラ・インテグラタイプSとパスポートの国内導入を発表した。
今回フォーカスするのは、そのうちの1台、アキュラ・インテグラタイプSだ。「インテグラ」という車名は、日本のユーザーにとっても馴染み深いはずだろう。シビックとコンポーネントを共有するスペシャルティモデルとして1985年から生産され、とくに1995年から設定されたタイプRは各世代が現在でも高い人気を誇っている。
2007年にシリーズ4代目となるDC5型が販売を終了してからは10年以上途絶えていたが、2021年に中国市場でシビックの兄弟車として車名が復活。そして翌年2022年には、北米におけるホンダの高級車ブランドであるアキュラから、シビックをベースとした5代目インテグラが新規車種としてデビュー。そのトップエンドを担うグレードとして2023年に登場したのが、今回日本導入が決まったタイプSだ。
パワーソースはK20C型2リッター直列4気筒VTECターボで、組み合わされるトランスミッションは6速MTのみ。そして5ドアハッチバックの専用ワイドボディと同じく専用のシャシーセッティング……と特徴を並べてみれば、誰しもがひとつの疑問を抱くはずだ。
結局のところ、シビックタイプRとどこが違うというのだろう?
もっとも大きく、わかりやすい違いはそのスタイリングだろう。ベースとなるシビックとインテグラがまったく異なるボディ外板をもつのだから当然といえば当然なのだが、それぞれベースモデルからワイドボディ化されており、そのアプローチも大きく異なる。
ボディ全体の造形をもってワイド化されたようなイメージのシビックタイプRに対して、インテグラタイプSはより無骨な印象だ。それがとくに目立つのはフェンダーまわりで、ある種のあと付け感もあるオーバーフェンダーが、インテグラタイプSにおいて大きな視覚上のアクセントとなっている。このあたりは好みがわかれるところだろう。また、フロントマスク開口部の形状によって冷却性能に若干の差が生まれることも予想される。
インテリアでもまた、両車の印象は大きく異なる。レッドカラーやスウェードといった要素がこれでもかというほどに走りのイメージを主張するシビックタイプRに対して、インテグラタイプSは各部の意匠こそ大きく変わらないものの、素材やカラーリングによってぐっと落ち着いた、どちらかというとラグジュアリーな印象となっている。
もっとも大きく異なるのがフロントシートだ。シビックタイプRでは真紅のセミバケットタイプとなるところ、インテグラタイプSでは一般的な形状で、ヘッドレストに”Type S”のエンボスロゴが入る程度の控えめなものとなっている。シートヒーターや運転席12Way・助手席4Wayの調整機構も備わっており、両車の性格の差が析出した部分といえるだろう。
インフォテインメント類では、9インチセンターディスプレイ+10.2インチデジタルメーターという基本的な構成は両車で同一。しかし細かい部分には差異があり、メーターのグラフィックが異なるほか、センターディスプレイからアクセスできるデータロガーアプリ「Honda LogR」はシビックタイプR固有の装備となる。一方でインテグラタイプSにのみHUD(ヘッドアップディスプレイ)が装備される。
オーディオシステムも異なり、シビックタイプRが12スピーカーBOSEプレミアムオーディオ、インテグラタイプSが16スピーカーのELS Studio 3Dとなる。
ドライブモードセレクターは両車共に備わるが、「COMFORT、SPORT、INDIVIDUAL」、そして別体のスイッチで選択する「+R」を加えた4モードとなるシビックタイプRに対し、インテグラタイプSでは「+R」スイッチが存在しないかわりに、「COMFORT、SPORT、SPORT+、INDIVIDUAL」の4モード設定とされている。
スペックシートを並べてにらめっこしてみると、大きく異なるのはボディサイズだ。シビックタイプRのディメンジョンは、全長4595×全幅1890×全高1405mm。対するインテグラタイプSのそれは、現時点ではインチ表記の北米仕様のものしかわからないのだが、インチ表記に25.4を掛けてmm表記に直した上で、日本のカタログ様式に合わせて数値の一の位を0か5に丸めると、全長4725×全幅1900×全高1405mmとなる。
両車の数値を比較すると、全幅と全高こそさほど変わらないが、全長は130mmと意外なほどにインテグラタイプSのほうが大きいことがわかる。ホイールベースは2735mmで共通なので、前後のオーバーハングだけでそれだけ拡張していることになる。その影響か、最低地上高もインテグラタイプSのほうが20mmほど低い。
サイズが大きいということで気になる車重だが、シビックタイプRの1430kgに対して、インテグラタイプSは3219lbs≒1460kgと、30kgほど重い。これはボディパネルの差と、前述したシートの差くらいと考えれば合点がいくところだ。
