この記事をまとめると
■トラックのキャビンと荷室の隙間はフレームのしなりを逃がすために必要である
■振動や騒音の遮断や整備性向上など複数の役割をもつ構造
■トレーラーでは旋回や傾斜対応など安全確保のためさらに重要となる
「謎の隙間」には意味がある
トレーラー、バンタイプ、積載車とトラックにはさまざまなタイプがある。その種類によって運べる荷物や長さなどはまちまちで、用途に合った形状をしている。こうしたトラックを横から見ると、キャビンと荷室の間に隙間があることは知っているだろうか。街なかで走っているトラックを見ればわかるが、スペースに差はあるものの、キャビン後部に隙間があることがわかる。そしてこの隙間は、トラック特有の構造であると同時に、走行時の安全性を守るための空間なのだ。
ではこの隙間がなんのためにあるかを説明していこう。一見無駄に見えるこの隙間は、フレームの「しなり」を逃がすための役目がある。トラックは乗用車のようなモノコック構造ではなく、はしご状のラダーフレームの上にキャビンと荷室が別々に載っている構造となっている。そのため、重い荷物を積んで走行したり、段差を越えたりすると、このフレームがしなることで衝撃を吸収しているのだ。しかしこの隙間がないと、フレームがしなった際にキャビンと荷室がぶつかり破損してしまうので、ある程度の隙間が確保されているというわけだ。
隙間がある理由はほかにもある。キャブオーバー型のトラックは、キャビンの真下付近にエンジンがある。そこでキャビンと荷室を完全に切り離しておくことで、エンジンの激しい振動や騒音が荷室に直接伝わるのを防いでいるのだ。これにより、荷室内の荷物の損傷を防ぐとともに、キャビン内の快適性を最低限確保しているというわけだ。
さらに、この隙間はトラック特有のキャブチルト機構のためでもある。中型や大型トラックの多くは、エンジン点検の際にキャビン全体が前方に倒れるキャブチルトを採用しているが、キャビンが扇形に動くため、荷室との間に物理的なスペースがないと、倒した際に荷室の前面に干渉してしまう。そこである程度のクリアランス確保のために隙間が空いているのだ。
