
この記事をまとめると
■トラックでも小型モデルを中心にBEVの普及が進んでいる
■海外では大型EVトラックも登場しているが日本ではインフラが課題となっている
■長距離輸送では水素トラックとの棲みわけが現実解となりそうだ
トラックがBEVになったらいままでのように長距離は走れない?
世界的に進んでいる自動車のカーボンニュートラル(脱炭素)化。日本や欧米主要国などの多くの国が2050年までの達成を表明。その達成に向け、各国とも官民共同でその取り組みが行われている。代表的なものが自動車の電動化(EV化)。みなさんもご存じのとおり、日本では日産のリーフやアリア、サクラ、三菱のekクロスEVやトヨタのbZ4Xなど、軽自動車からハッチバック、SUVなどさまざまな車種がリリースされている。
トラックも2017年の三菱ふそうeキャンターのデビューを皮切りに、日野デュトロやいすゞエルフのEVといった、いわゆる2トン車、小型トラックをベースにしたBEV(バッテリー式電気自動車)の普及が進んでいる。小型車ベースのBEVトラックは、物流拠点から店舗への配送や宅配便の配達など、いわゆるラストワンマイルの輸送に適しており、ヤマト運輸などの大手宅配便やローソンなどコンビニのチルド配送、伊藤園など飲料メーカーの配送便など各社で採用されている。
また、2025年のジャパンモビリティショーでは中国のEVメーカーBYDが、乗用車とは別にトラックやバスなど、商用車に特化したブースを出展。日本市場への進出を図っている。さらに国内では、中古の小型トラックをベースにしたEVトラックを製造・販売する架装業者も増えている。
このように、小型トラックをベースにしたBEVがメーカー各社からリリースされ、その運用に関しても国内の地方自治体や大手企業による社会実験が進められているが、BEVは乗用車も同様だが、バッテリーの電力を動力源にする以上、走行距離の短さがネックになってくる。2026年現在、小型のBEVトラックの一充電あたりの航続距離は100〜200kmが目安だ。
欧州などの海外では、ボルボやメルセデス・ベンツ(ダイムラートラック)、MANなどのメーカーが大型トラックのEVをリリース・実用化しており、また中国のトラックメーカーも進出している。これら大型のEVトラックの一充電あたりの航続距離は500〜600kmが目安。
彼の地では充電スポットなどのEVインフラが進んでいるため、小型車・大型車とも物流シーンでの普及が進んでいるが、日本ではそのインフラの整備が遅れているため、EVトラック、とくに大型車の実用化は、まだまだ先になることだろう。現状では、先述したラストワンマイルでの輸送を主な用途とした小型トラックのEVの普及が現実的なところだろう。
とはいえ、日本のトラックメーカーもこのままディーゼルの大型トラックのみを作り続けていればいいとは決して思ってはいない。日本では水素を燃料にした大型トラックをかねてより開発している。
いすゞは2022年からホンダと共同で大型車ギガをベースとした水素による燃料電池(FCV)トラックを開発し、公道実験を進めており、また日野は2025年にプロフィアのFCVトラックを実用化、市場にリリースさせた。
三菱ふそうでは燃料電池(FCV)トラック「H2FC」のほか、水素そのもので動く水素燃焼エンジンのトラック「H21C」を開発。2025年のジャパンモビリティショーにて発表した。現在、もっとも稼働時間の長いバッテリーは、スマートフォンやパソコン、モバイルバッテリーにも使われているリチウムイオンが主力で、それ以上の距離または時間をかせぐバッテリーは登場していない。
そのため、短距離の配送をメインとする小型トラックはバッテリーEV、長距離の輸送を担う大型トラックは液体水素を使った燃料電池または水素燃焼エンジンの車両、と用途別に棲み分けされたトラックが日本の物流シーンの今後を担うことになるだろう。
もっとも、科学技術の進化はまさに日進月歩、リチウムイオンより長寿命かつ短時間の充電を実現するバッテリーが登場したら、その勢力図も変わることになるかもしれない。
