
この記事をまとめると
■BYDが日本市場にPHEVを本格的に投入する
■SUVの「SEALION 6」を皮切りに小型車「ATTO 2」で市場拡大を狙う
■EVだけでなくPHEVでも世界的に存在感を強める戦略を展開する
BYDはEVだけのメーカーじゃない
いまやBYDと聞けば多くの人が「中国のEVメーカー」と答えると思う。BYDが日本参入を発表した2022年7月では、自動車業界関係者以外でBYDの認知度は日本でゼロに近かった。
同年夏には、BYDが協賛したユーザー向けイベントが横浜の赤レンガ倉庫で開催された。海外リゾートのビーチを再現する「レッド・ブリック・ビーチ」で、仮設の建物の内部には白い砂が敷かれたエリアがあり、その周囲にトロピカルな雰囲気の飲食店を仕立てた。仮設建物の前には、「ATTO 3」「DOLPHIN」「SEAL」の3モデルが並び、このうち「ATTO 3」には人数限定で公道試乗会が連日実施された。
この試乗会には、一般ユーザーに混じって、日本の自動車メーカーや自動車部品メーカー関係者もお忍びで試乗するなど、当時は日本のユーザーに無名だったBYDの実力を確認しようという姿勢があった。
そんなBYDが今後は日本でPHEVの販売を強化する。SUVの「SEALION 6」を皮切りに小型車「ATTO 2」で市場拡大を目指す。
そう聞くと「BYDって、テスラみたいにEV専業メーカーだと思っていたのに」と思う人がいるかもしれない。
中国や東南アジアでのモーターショーを取材すると、BYDの展示ブースの広さに驚く。そこには、小型車から大型SUVやスーパーカーのようなハイスペックスポーツカーまで、EVとPHEVでカバーしているフルラインアップを取り揃えている。
時計の針をさらに戻すと、2000年代末から2010年代初頭にかけて、BYDが中国で事業を拡大したころ、EVではBYDの地元の深センでタクシー用の「e6」が走りまわるようになった。
同じころ、個人向けにPHEVの「F3 DM」を発売した。それから15年ほどが経過したいま、BYDがEVとPHEVでグローバル市場にこれほど大きな影響力を及ぼすとは、筆者を含めて海外メディア関係者は誰ひとりとして想像していなかったと思う。
BYDジャパンが2025年12月に都内で開催した「SEALION 6」の発表記者会見では、BYDがDMと呼ぶPHEV技術の歴史を振り返るとともに、現在BYDが量産を計画しているPHEVプロジェクトが多数存在することに驚いた。グローバルで見て、PHEVの多モデル化にもっとも積極的な自動車メーカーがBYDであることは間違いない。
こうしたBYDの戦略が吉と出るのか? 今後もBYDの事業の行方を注視していきたい。
