
この記事をまとめると
■トラックや軍用車は耐荷重や走破性向上のため多輪化される
■乗用車では6輪化すると多くの面でデメリットが増える
■操安性向上の余地はあるが費用対効果が低く結果として4輪が最適解となっている
多輪化はロマンであって現実解ではない
バイクのことを2輪、クルマのことを4輪と区分するように、4つのタイヤはクルマの象徴。大型トラックや自衛隊の装輪式装甲車(装輪=タイヤ。キャタピラは履帯式)には6輪や8輪のタイプもあるが、乗用車ではまず見かけない。
例外的にメルセデス・ベンツが100台限定で作ったG63 AMG 6×6があるぐらいで、あとはサンダーバードの劇中車ペネロープ号ぐらいしか思い浮かばないはず。カスタムカーでSUVを6輪化する例はあるが、基本的に乗用車を6輪化するメリットはない。
そもそも大型トラックなどが、6輪化、8輪化する理由は、タイヤ数を増やすことで、タイヤ1本あたりの負担を分散・軽減し、耐荷重と安定性を向上させるのが第一。そのほか、低床化によって積載量を増やしたり、パンク時のリスクを減らすといった理由もある。自衛隊の装輪式装甲車の場合は、有事の際、道なき道を走ることを想定しているので、不整地の走破性を高めるために6輪・8輪を採用している。
舗装路だけを走るのなら、乗用車に6輪・8輪は不要。6輪化・8輪化した場合、ボディサイズが同じであれば、タイヤハウスが大きくなるので、居住スペースやラゲッジスペースが圧迫され、極端に狭くなってしまう。反対に居住スペースなどを優先すると、G63 AMG 6×6のように、全長約6m、全幅2m以上の超巨大なボディが必要になるので現実的ではない。
また、構造が複雑になり部品点数も多くなるのでコストが高くなり、車重も重くなる。参考までに、G63 AMG 6×6の車両価格は8000万円だった。そして重くなるということは、燃費も悪く、タイヤが増えた分だけ転がり抵抗も増えて、ロードノイズもプラス。静粛性はかなり犠牲になる。加えて、バネ下重量も増えるので、乗り心地の面でもマイナスだろう。
操安性でいえば、フロントの4本のタイヤが総舵輪で、リヤの2本が駆動輪の6輪車であれば、操縦性=ハンドルの利きがよくなり、フロント2本、リヤの4本が駆動輪なら直進安定性がアップする。軍用車なら、総輪駆動、総輪操舵などもあり得るが、ますます高額になるので、乗用車として需要があるとは思えない。
ゆえに乗用車での6輪、8輪などにはメリットはないといい切ってしまっていいだろう。
