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中東危機で燃料代高騰……BEVに乗ればOKとはならない! BEV普及率20%のタイを悩ませる充電インフラ不足

中東危機で燃料代高騰……BEVに乗ればOKとはならない! BEV普及率20%のタイを悩ませる充電インフラ不足

この記事をまとめると

■2026年3月25日から4月5日の期間で第47回バンコク国際モーターショーが開催

■中国系のEVブランドが多数出展しており存在感を示していた

■EVが普及しているタイや中国でも充電器不足に悩まされている

EVの普及に曇りが出つつある

 アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が続くなか、2026年3月25日から4月5日の期間にて、タイの首都バンコク郊外で開催されたのが、第47回バンコク国際モーターショーだ。会場内では圧倒的な販売シェアを誇る日系ブランドを超える出展ブランド数で、勢いのある中国系ブランドが存在感を見せていた。

 タイは普及率が20%を超えるBEV先進普及国となっているのだが、ここのところの世界的なBEV販売低迷傾向もあり、タイ国内では中国系ブランド同士でBEVの乱売合戦が展開されるなか、その中国系ブランドもHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)のラインアップ強化を進めてきている。

 今回のショーでは、タイ国内や海外メディア関係者が出展関係者やショー主催関係者に話を聞く際には当然ながら、イラン攻撃による原油価格の高騰による新車販売への影響についての質問が多く寄せられ、さらにいまの状況がBEV販売の追い風になるのではないかとの質問も相次いだ。

 出展者、とくに中国系ブランド関係者にとっては追い風となることを期待するコメントも聞かれたが、主催関係者からは懐疑的な話も聞くことができた。

 燃料代高騰というキーワードだけで考えれば確かにBEVにとっては追い風になりそうなのだが、BEV普及率20%超のタイでも……というよりも、そのタイだからなのか、全国的には充電インフラの整備が追いついていないというのである。タイではソンクラン(別名水かけ祭り)と呼ばれる伝統行事があり、この期間中には都市部から地方の実家へクルマで帰省するひとも多いのだが、そのような繁忙期にBEVユーザーを悩ますのが、充電施設が足りていないことによる、充電渋滞だとのこと。

 たしかにいまの世界的な燃料価格の高騰は、本稿執筆時点では出口がまったく見えていない。タイでも筆者が訪れた時で1リットルあたりのガソリン価格は200円を超えていた。「それならBEVにするか」という消費行動はわかりやすいのだが、「でも充電が面倒くさいなあ」というのが先に頭に浮かぶひとも多く、考えているほどBEV販売には追い風にならないとのことだ。

 報道では世界屈指のBEV普及率を誇る中国でも、都市部だけではなく地方部でも充電施設のさらなる増設を進めているとのこと。そんな中国でも沿岸部の大都市でさえガソリンスタンドに給油待ちの長い列ができており、まだまだICE(内燃機関)車が街なかを多く走っている。春節(旧正月)などの長期休暇には、高速道路のサービスエリアに移動充電器を用意するといった対応が、中国のニュースでよく見られる。

 中東情勢によりBEV需要のさらなる加速が期待できるなか、中国政府(地方政府?)が充電施設の増設なくして追い風なしとしているのは、手慣れていると感じた。

 仮に日本国内で日系だろうが外資だろうが、BEVの即納体制が幅広く整い(ラインアップ増含む)、BEV需要が加速度的に増しても、現状の国内充電インフラがそれに対応しているとはいえないのは間違いなく、燃料費高騰とは別のパニックが起こることになるだろう。

 現状ではまず充電インフラ整備をさらに加速させ、次の燃料危機に備えるほうが、日本では賢明ともいえる(化石燃料による発電比率低減も含む)のではないだろうか。

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