
この記事をまとめると
■北米日産が5月6日を「V6の日」として制定したことを発表した
■日産とV6の関わりは古くVG・VQ・VRと続くユニットは名機として名高い
■「V6の日」の制定は今後も内燃機関の魅力を忘れないという宣言でもある
日産とV6エンジンの関わり
アラビア数字の「5」をローマ数字では「V」と表記する。ドイツの歴史家テオドール・モムゼンによると、「V」は手をかたどった象形文字であり、指の本数である「5」を表わすからなんだとか。だから「10」は「V」を上下に向かい合わせた「X」になるのだという。
のっけからなぜローマ数字のことに触れたかというと、日産が5月6日を「V6の日」に制定したから。つまり、「5はVなのだから5月6日はV6だ」というわけだ。この理論でいくと、5月8日は「V8の日」で5月10日は「V10の日」、そして5月12日は「V12の日」となるが、もちろん現在のところ、ほかの自動車メーカーからはそんな記念日の発表はされていない。
ではなぜ日産がわざわざ「5月6日をV6の日」としてアピールしたかといえば、それは日産とV6は切っても切れない関係にあるからだ。
もともと日産がV6エンジンをラインアップしたのは、1980年代初頭のVGシリーズまでさかのぼる。60度バンク角の自然バランス設計を採用し、スムースさと耐久性、そしてコンパクトさを兼ね備えたエンジンとして高い評価を確立した。
そんなVGシリーズは、1994年にVQシリーズに進化を果たした。アルミ製ブロックを採用し、徹底的な摩擦低減を図ったVQは、まるで直6のような滑らかさと、V型ならではのパンチ力を兼ね備え、スカイラインやフェアレディZにフーガ、マキシマ、セフィーロなど、多くのクルマに搭載された名機だ。
実際、VQは、1995年から2008年まで、なんと14年連続でウォーズオート「10ベストエンジン」に選出されるという前人未踏の記録を打ち立てている。
そしてVQエンジンから発展したのが、泣く子も黙る「VRシリーズ」。R35型GT-Rに搭載される3.8リッターV6ツインターボの「VR38DETT」は、熟練職人の「匠」の手によって一台ずつ手組みされるまさに芸術品で、デビューから18年以上が経過したいまなお、世界のスーパースポーツと対等以上に渡り合う戦闘力を維持している。
さらに、現行型フェアレディZやスカイライン400Rに搭載されている「VR30DDTT」もまた、現代における日産のV6の象徴だ。最高出力400馬力オーバーを絞り出しながら、低回転から湧き上がるトルクとどこまでも吹き上がるようなフィーリングには、電気モーターでは決して味わえない中毒性がある。
しかも日産は、ここへきて再びV6推しを強めている。北米向けピックアップトラックのフロンティアでは、いまどき珍しく3.8リッター自然吸気V6を全車標準搭載。「Too V6 To Quit!(V6はやめられないぜ!)」なんてなかなか強気なキャッチコピーまで掲げている。
最近の自動車業界は、ダウンサイジングターボやハイブリッド化が当たり前。かつてV6だったクルマが直4ターボへ置き換わるケースも珍しくない。実際、トヨタ・クラウンもメルセデス・ベンツCクラスも、いまやメインは直4。
そんななかで、「やっぱりV6っていいよね」と堂々といい出したのが日産なのだ。もちろん、環境性能や燃費を考えれば、小排気量ターボやハイブリッドのほうが合理性は高いが、その一方でV6にはV6にしかない魅力があるのも確かだ。
今回の日産の「V6 Day」制定は、日産による「まだエンジンは終わっていない」という宣言なのだ。もちろんこの先、EV比率がどんどん高まっていくのは間違いない。その過渡期において、日産は「内燃機関の気もちよさを忘れない」と世界にアピールしたことは、クルマ好きにとってはうれしい限り。来年も再来年も、そしてこの先もずっと、日産が5月6日を「V6の日」とアピールし続けることを願いたいものだ。
