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【試乗】新型CX-5は「ないものねだり」に応える欲しいもの全部載せ! 特筆すべき走りの上質っぷりと「唯一の要望」 (1/2ページ)

【試乗】新型CX-5は「ないものねだり」に応える欲しいもの全部載せ! 特筆すべき走りの上質っぷりと「唯一の要望」

この記事をまとめると

■3代目となる新型マツダCX-5に試乗

■装備面や使い勝手は驚くほど進化

■最初に登場するマイルドハイブリッドはやや気になる面も

日常使用で確実に「効く」改良が随所にみられる

 3代目となる新型マツダCX-5は、マツダにとって単なる主力SUVではない。初代が2012年にスカイアクティブ技術と魂動デザインを全面採用して登場して以来、CX-5は世界130以上の国と地域で支持され、累計500万人以上に選ばれてきた。マツダ全体の販売においても大きな割合を占める中核車種であり、このモデルの成否はブランドの将来像にも直結する。新型の開発テーマは、SUVの王道を極めることに置かれた。マツダらしい人馬一体の走りやデザインによる高揚感を残しながら、日常での使いやすさ、居住性、静粛性、先進安全、HMIを一段引き上げる。そこに今回のCX-5の狙いがあるという。

 ボディサイズは全長4690mm、全幅1860mm、全高1695mm。旧型CX-5の全長4575mm、全幅1845mm、全高1665mmに対し、ひとまわり大きくなった。ホイールベースは旧型の2700mmから2815mmへと115mm延長されている。この拡大分を後席と荷室の実用性向上に大きく振り向けた点が、新型の本質を表している部分でもある。

 後席は明確に広くなった。ヘッドクリアランスは旧型991mmに対して1020mm、ニークリアランスは67mmから131mmへ拡大。ショルダールームも1391mmから1412mmとなり、ドア開口高さは779mmから816mm、ドア開口前後長は750mmから825mmへと広がった。数値上の変化だけでなく、乗り降りのしやすさ、チャイルドシートへのアクセス、後席乗員の姿勢自由度に効いている。

 荷室容量もアップされ実用面で進化している。後席使用時の荷室長は949mmから994mm、後席可倒時は1751mmから1845mmへと拡大。荷室開口地上高は旧型745mmに対して727mmと低くなり、重い荷物の積み下ろしがしやすくなった。ベビーカーを縦方向に積めるようにしたという開発側の説明は、単なるカタログ上の利便性ではなく、荷物を先に積み、子どもを乗せ、最後にベビーカーを畳んで載せるという実際のユーザー動線まで考えて作り込まれたものだ。

 エクステリアは、ひと目でCX-5とわかるサイドビューと美しいウインドウラインを継承しながら、前後の厚みとワイド感を増した。全幅は15mm広がっただけだが、前後フェンダーの踏ん張り感、リヤタイヤに荷重が乗るようなサイドライン、フェンダーアーチの樹脂製パーツ造形の遊び心によって、視覚的にもUVとしての道具感と、マツダらしい都会的な造形を両立させようとした意図が見える。

 インテリアは水平基調が強められた。15.6インチというマツダとしても国産車としても過去一番の大型ディスプレイを中心に据えながら、ドライバーが車両姿勢をつかみやすいよう、インパネからドアトリムまで水平ラインが通されている。Aピラーには1310MPa級の高張力鋼板を用いて9mm細くしたという。こうした地味な改良は視界の確保に効く。運転席に座ると、ボディが大きくなったにもかかわらず、見切りの悪さは感じにくいのだ。

 パワートレインは現時点では2.5リッターガソリンのSKYACTIV直噴ガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせた仕様が設定されている。トランスミッションはギヤ比も含めキャリーオーバーされた6速AT。グレードはS、G、Lの3種類で、それぞれにFFとAWDが設定される。価格はSが330万円、Gが352万円、Lが407万円。ミッドサイズSUVの需要が厚い350万円前後の価格帯を意識し、上級化しながらも現実的に選べる価格帯へ収めたことは評価できる。

 走り出してまず感じるのは、ステアリング操舵力の軽さである。従来のCX-5はしっかり感を前面に出した操舵フィールだったが、新型は明らかに軽やかだ。市街地の細い道や駐車場で扱いやすく、女性や高齢のユーザーにも受け入れられやすい設定になっている。ただし、軽いだけではない。切り始めから車体の反応が遅れることはなく、タイヤの接地感も希薄ではない。このあたりにマツダが長年積み上げてきたステアリングチューニングの巧さが感じられる。

 サスペンション形式は先代を踏襲するが、ダンパーは大きく見直されている。ダンパー容量を増やし、ガス圧を高め、ピストンスピードの低い初期領域から減衰力を立ち上げる方向に変更された。その一方でスプリングレートは前後とも抑え、しなやかさを確保している。つまり、バネで固めてロールを抑えるのではなく、ダンパーでロール速度と姿勢を制御する考え方だ。この効果は街なかの低速域でわかりやすい。段差を越えた瞬間の角が丸く、ボディの上下動が一発で収まりやすい。従来型にあった硬質な突き上げ感は薄まり、タイヤが路面をなぞる感覚が強まった。GやSではとくにそのしなやかさが際立つ。Lは装備が充実し、内装の質感も高いが、乗り味としてはやや硬めに感じられる場面があった。コストバリューで見ればLは魅力的だが、乗り味だけで選ぶならGやSのバランスも捨てがたい。

 AWDとFFの差が縮まったことも印象的だった。従来のCX-5ではFFの軽快感が際立ち、AWDはやや重さを意識させる場面があった。しかし新型では、AWDでも操舵初期の重さや乗り心地の硬さが目立たない。SUVである以上、雪道、雨天、高速道路、未舗装路での安心感を考えればAWDの価値は大きい。FFとの価格差が23万円台で収まるならAWDを選ぶ意味は十分にある。

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