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自動車王国の日本は完敗!? 自動車メーカーが存在しないスイスなのに博物館のお宝っぷりがヤバい!

自動車王国の日本は完敗!? 自動車メーカーが存在しないスイスなのに博物館のお宝っぷりがヤバい!

ゆとりあるスケジュールで2年越しに念願の再来訪

 オートバウ・アドベンチャーワールドを訪れたのは今回で2回目。最初は2年前の6月に、南フランスからモナコを経由してフランクフルトに戻る途中で訪れたのですが、国境のワインディングを楽しみながら、そしていくつかの渋滞を抜けながら博物館に辿り着いたのが午後3時過ぎ。

 そこからレーシングカーが展示されている円筒形の棟からロードカーが展示されている方形の棟と取材撮影してまわったのですが、すべてをチェックする前に午後5時の閉館時間を迎えてしまい、残念ながらタイムアウト。スタッフからは「そんなに見たいのだったら、また来週来なさい」と言われたのですが、翌日夕方にはフランクフルトからの帰国スケジュールが組まれていて、後ろ髪(最近少なくなってきたけれど……)を引かれる想いで博物館を後にしたことを記憶しています。

 それもあって、今回、フランスのマニクールで開催されるクラシック・デイズを取材するスケジュールをスイスのチューリッヒから始めることにして、無事に再度の訪問が叶ったのでした。今回はタイムアウトとならぬよう日曜日を1日充てて取材するスケジュールを組んでいたのですが、さすがにそこまでの時間は必要なく、開館時間の午前10時に入館し、昼食抜きで取材を続けて午後早くに取材を終えた後は、いつもの”弾丸取材ツアー”には珍しく、リヒテンシュタインまで足を延ばし少しだけ普通に観光もできました。

自動車メーカーはないもののスイスには博物館が充実

 スイスにおける自動車博物館の充実には驚かされてしまいます。エミール・フレイ・クラシックスや20年近く前に訪れたパンテオン・バーゼルも素晴らしい自動車博物館でしたが、今回はルツェルンにある交通博物館やピエール・ジアナダ財団 -自動車博物館、フォーミュラ1博物館など特徴的な博物館をいくつもまわるツアーとなっています。これらの博物館はまたあらためて紹介する予定ですが、それにしても自動車メーカーが存在しないスイスで、これだけ多種多様な自動車博物館が充実しているのです。

 それに引き換え、自動車産業が戦後の復興を牽引し、いまなお自動車王国と呼ばれる我が国では……。これについてはこれまでにも幾度となく書き連ねてきましたが、メーカーに頼らない国立、あるいは国交省や経産省、JAFなどの主導による自動車博物館の整備を望むばかり。いまは日本自動車会議所に期待を寄せています。

 ということで展示車両の紹介に移りましょう。メインエントランスの右手にレーシングカー、左手にロードカーが展示されていますが、レーシングカーではザウバー歴代のF1モデルが集合している様が圧巻です。またF1だけでなく初期のスポーツカーもあり、「さすがは地元!」と感じました。

1978 Sauber C5

 のちにグループCやF1まで手がけたスイスのコンストラクター、ザウバーが1977年のル・マン24時間を目指して製作したグループ6。BMWエンジンを搭載し78年ル・マンではクラス2位。ほかにも数々の優勝を飾っている。

  

1979 BMW M1 Procar

 ザウバーがグループ6からグループCへと移行する間、70年代の終わりに手がけたマシンがBMW・M1のプロカー仕様。これはBMWが企画したスーパースポーツカーのM1を使ったワンメイクレースで、開発にも関わっている。

 ロードカーに関しては、いわゆる”スーパーカー”の展示が多いなか、フィアットのトポリーノなど、コンパクトカーの展示も抜かりなく、自動車博物館としての懐の深さを感じさせられました。

1951 FIAT 500 Topolino C-Model

 自動車史上もっとも偉大なコンパクトカーと高い評価のフィアット500。トポリーノ(ハツカネズミ)の愛称でも知られる。2座だが「ローマの休日」では3人乗車でローマ市内を闊歩していた。こちらのタイプCはジアコーサ自らがデザインした最終モデル。

 初めて足を踏み入れることになったクレイ・レガツォーニ記念館では障がい者のための運転補助装置を付けたマスタングがとても印象的でした。

1965 Ford Mustang Coupe GT Mach 1

 レガツォーニの記念館に展示されたフォード・マスタング。一見するとツーリングカーレース用車両にも見えるが、アクシデントで下半身不随になった彼が両手のみで操縦できるように補助装置が組み込まれている。

 そしてクレイさんの偉大さを想い、レジェンドドライバーとしてだけでなく、ひとりの人間としての器の大きさに感じ入った次第。

1980 March 802

 オートバウ・アドベンチャーワールドには、なぜか数多くのマーチ社製”市販”レーシングカーが数多く展示されている。こちらは1980年のF2用802。前年仕様の792からフレームを一新。国内にも数多く導入された。

  

1990 Monteverdi-Onyx ORE1

 F3000を戦っていたオニクスが、ターボエンジンが禁止されたタイミングでF1GPに進出。製作したマシンがオニクスORE1。翌1990年シーズンにはスイスの自動車メーカーが支援してモンテベルディ・オニクスを名乗った。

  

1990 Nisseki-Porsche 962C

 1980年代序盤に始まったグループCによる世界耐久選手権で圧倒的な王座に就いたポルシェ956/962C。この962Cは日本のトラスト・チームが使用したマシンで、90年のル・マン24時間で13位入賞したマシンそのものだ。

  

2007 Lola B05/52 A1 Grand Prix Car

 チーム単位での争いではなく、同じマシンを使って国別対抗のレースとして計画されたA1グランプリ用に開発されたマシン(の第1世代)がこちら。英国のローラ社が生産し、ザイテック社の3.4リッターV8を搭載するローラB05/52。

  

2010 Dallara IR-05 Indy Car

 イタリアのダラーラ社が製作したインディカーシリーズ用のシャーシがI R05。2003年に登場すると、Gフォースなどのライバルを上まわるパフォーマンスを示して事実上のワンメイクとなり、後継からはワンメイクに指定。

  

2003-08 Doran JE4 Daytona Prototype

 従来のル・マン・プロトタイプに代わり2003年から北米・ロレックス・スポーツカー・シリーズの主役を演じることになったデイトナ・プロトタイプ。ドーランJE4はその第1世代のシャーシのひとつ。独特のデザインが特徴だ。

  

1984 Aston Martin Lagonda

 1976年に登場したアストンマーティンの最上級4ドアセダンがラゴンダ。V8エンジンを搭載するが、低く極端なロングノーズがシリーズ2の大きな特徴で、前身にあたるシリーズ1からデザインが一新されている。

  

2004 Ford GT

 1960年代後半に、王者フェラーリに挑み、王座に就いたフォードGT”40″の第2世代が、フォードの100周年を記念して生産されたフォードGT。プッシュロッドの初代と異なりDOHC(4カム)のV8を搭載する。

  

2020 Dallara Stradale

 レーシングカー・コンストラクターとして、いくつものカテゴリーで勝ち残ったダラーラ社が開発を手がけた初のロードゴーイングモデルがストラダーレ。2016年に完成し、1号車はジャンパオロ・ダラーラに寄贈された。

オートバウ・アドベンチャーワールド autobau erlebniswelt

Egnacherweg 7, 8590 Romanshorn, Switzerland. https://www.autobau.ch/
日曜開館。開館時間は10:00~17:00。入館料は大人CHF 24.00(邦貨換算約4870円)

  

  

 スイスの北部、ボーデン湖に面してフランスやドイツ、あるいはオーストリアやリヒテンシュタインとも近いエリアにあり、ドイツのミュンヘンやオーストリアのウイーン、そしてイタリアのミラノ各空港からのアクセスも不可能ではないけれど、やはりもっともアクセスに優れているのはスイスのチューリッヒ・クローテン国際空港。日本国内からだと全日空の直行便があり、日航だとヘルシンキ経由便となる。一般的にスイスは物価が高く、今回もホテルはドイツやフランスの安宿を使用した。クルマでまわる分には何ら問題なくドライブが楽しめた。

※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております

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