
この記事をまとめると
■ダンロップが新スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE Pro」を発表した
■あえてバランスを見直して氷上ブレーキ性能に特化したスタッドレスタイヤとなっている
■凍結路面を日常的に走るドライバーに向けた新たな選択肢となる
ウインタマックスシリーズに新ラインが登場
メジャーリーガーの大谷翔平選手をブランドアンバサダーに据え、オールシーズンタイヤの「シンクロウェザー」が絶好調なダンロップ。そんなダンロップが、今冬に向けて新たな一手に打って出た。冬道の安全を足もとから支えるスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX」シリーズに、氷上性能を極限まで追求した待望の新シリーズ「ICE Pro」を追加したのだ。
2026年8月から順次発売されるこの新製品は、これまでの「全方位のバランス型」というスタッドレスの常識を覆し、あえて「氷」というもっとも過酷な局面に特化した「極振り」の性能が最大の特徴となっている。
2026年7月1日、都内にて行われた発表会の冒頭、住友ゴム工業 常務執行役員の水野洋一氏は、ダンロップブランドの新たな世界観について「お客さまにポジティブな感情を生み出す革新的な体験を提供することが、私たちの使命です」と強調した。その「革新」の第1弾が、次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」であり、そして今回発表された「ICE Pro」が第2弾となる。
これまでダンロップの「WINTER MAXX」シリーズは、氷上性能、雪上性能、ライフ性能、効き長もちといったあらゆる性能を高次元でバランスさせることを重視してきた。しかし、同社は今回、その「バランス」をあえて崩し、氷上での絶対的な安心感に特化するという、極めて挑戦的な戦略をとったのである。
「ICE Pro」の実力をもっとも端的に表す数字がある。従来品である「WINTER MAXX 03」と比較して、氷上ブレーキ性能を25%、氷上コーナリング性能を9%向上させたという点だ。スタッドレスタイヤの進化において、1世代で20%を超える性能向上は極めて異例といえる。
この驚異的な数字の背景にあるのは、氷上性能と相反する性能を一部犠牲にしてでも、冬の道でもっとも危険な「氷」という局面を克服しようとする開発思想だ。技術本部執行役員の田中 進氏は次のように説明する。
「タイヤにはひとつの性能を伸ばすと別の性能が抑えられるという相反関係が存在します。「ICE Pro」では、これまでのバランス重視の設計を見直し、ライフ性能を若干下げることで、氷上性能を大幅に伸ばすことに成功しました」
ライフ性能(摩耗耐性)を削ってまで氷上性能に振る。この決断は、雪国で毎日ハンドルを握るドライバーにとって、何物にも代えがたい「安心感」という価値を提供するためのものだ。
氷の上でタイヤが滑る最大の原因は、氷とタイヤの間に発生する微細な「水膜」にある。「ICE Pro」はこの水膜を瞬時に除去し、氷に密着し続けるための新技術を惜しみなく投入した。中心となるのが、新開発の「ふんばり吸水ゴム」だ。これまでの技術である「除水」と「密着」のさらに先、密着状態を「持続」させることに主眼が置かれている。
田中氏はこのメカニズムについて、「ゴムのなかに『低温ふんばり剤』を配合しました。これにより低温下でもゴムの柔軟性が損なわれず、強い力が加わってもゴムがしなやかに変形し続けて路面に密着します。まさに、氷の上でふんばる感覚を実現しました」と説明する。
