
この記事をまとめると
■「フェラーリといえば赤」というファンは多い
■100年以上前の国際レースでイタリア勢が「赤」を使ったことがルーツだ
■赤にはさまざまなトーンが用意されているほか代表色に黄色や青も使うことがある
フェラーリはなぜ赤を推している?
フェラーリというブランドからイメージするカラーといえば、それはやはりレッドということになるのだろう。現在でこそフェラーリのカスタマーは、自分の好みによってさまざまなボディカラーを選択するようになったものの、1990年代ごろまではレッドの人気は絶対的だった。それを証明するひとつの例が、1984年にデビューした「288GTO」と、それに続いて1987年にフェラーリの創立40周年を記念するアニバーサリーモデルとして誕生した「F40」という2台のスペチアーレ、すなわち限定車だ。
この両モデルに設定されたボディカラーは、フェラーリの社内コードで「Fer300/9」と呼ばれる「ロッソ・コルサ」、すなわちフェラーリ伝統のレーシング・レッドのみ。ちなみに288GTOで6台製作されたプロトタイプのうちの1台には「ジャッロ・モデナ」というイエローのペイントが施されていたが、このイエローはエンブレムにも使用されていることからもわかるように、じつはフェラーリのカンパニー・カラーであり、そして彼らが本拠を置くマラネロがあるイタリア・モデナ県を象徴するカラーでもある。
ではそもそもレッドはなぜ、フェラーリを象徴するカラーになったのだろうか。
それを知るためにはモータースポーツの歴史をさかのぼっていく必要がある。それはフェラーリが設立された1947年よりもさらに半世紀ほど前、18世紀最後の年である1900年にまで至る。この年、フランスで、ある国別対抗の自動車レースが始まった。「ゴードン・ベネット・カップ」というこのレースは、まさにそれぞれの国がもつ技術力、そして威信をかけたレースであり、参加車には生産国を識別するためのカラーが割り当てられた。フランスはブルー、ドイツはホワイト、イギリスはグリーンというように。
「なるほど、ならばここでイタリアにはレッドが割り当てられたのか」と考えるのはやや気が早い。ゴードン・ベネット・カップでは、イタリア車は当初ブラックのボディカラーで参戦していたのだ。だが、1905年まで続いたこのレースのなかで、アルファロメオやマセラティなどのイタリア勢は新たにレッドを使用。それがロッソ・コルサというカラーの始まりとなり、あとにフェラーリもそれを受け継ぐことになったのである。
エンツォ・フェラーリの意思によって、創設期からレースに積極的に参戦してきたフェラーリは、1950年のモナコGPから現在に至るまでF1GPへの参戦を続けているが、このなかで使用されてきたマシンもまた、一貫してロッソ・コルサを基本としたカラーを採用している。それもまた「フェラーリといえばレッド」というイメージを確立させた大きな理由。
フェラーリのカスタマーは、そのF1チームであるスクーデリア・フェラーリを応援するために、高価なロードカーを買うのであり、だからこそレッドは特別なカラーなのだという理論だ。
ちなみに現在では同じレッド系のカラーでも、フェラーリはさまざまなバリエーションを用意している。基本となるロッソ・コルサのほかにも、より明るい色調のロッソ・スクーデリア、逆に落ち着きのあるクラシカルなテイストのロッソ・ムジェロなどは、カスタマーにも好まれるレッド系カラーの代表的なところだ。
レッド(ロッソ)はフェラーリのレーシングカラー、イエロー(ジャッロ)はモデナ県のシンボルカラーであり、フェラーリのコーポレートカラーとなっている。
では最後に、イタリアのナショナルカラーを紹介してこの原稿を終えることにしよう。これは絶対にレッドだろうと思った方は、今回は残念ながらワールドカップ本戦には進めなかったものの、常に世界から熱い視線を集める、サッカー、イタリア代表のホームユニホームを思い出してほしい。
そう、イタリアのナショナルカラーはブルー(アズーロ)だ。近年では、このブルーをコマーシャルカラーに採用したフェラーリも誕生している。
