
この記事をまとめると
■新型パジェロを鳥取砂丘月面実証フィールド「ルナテラス」で試乗
■歩くのも困難なほどの砂地だがパジェロは確実に路面を捉えて走る走破性の高さを披露
■優れた電子制御技術によって高い走破性を誇ることを確認した
超過酷な砂地で新型パジェロを試す
今回、新型パジェロで砂地走行を試す機会を得た。場所は鳥取砂丘月面実証フィールド「ルナテラス」だ。鳥取大学乾燥地研究センターの敷地内に設けられた月面環境を模擬する実証フィールドで、砂丘の砂を生かした斜面や、利用者が自由に地形を作れるゾーンなどを備える。三菱自動車は2026年10月21日、ここで新型パジェロの走行試験を実施したと発表した。宇宙産業向けの実証フィールドを使い、自動車メーカーが市販車の開発試験を行うのは初めてだという。
砂地は見た目以上に難しい。タイヤが沈み、空転すれば駆動力を前進に結びつけることができない。深い砂では進路を変えるにも抵抗が増し、勢いを失った車体は床下を砂に乗せて動けなくなってしまう。舗装路での快適性や操縦性とは別の能力が求められる場所だ。今回の試験では、発進、加速、旋回、登降坂を繰り返しながら、駆動力配分や車両運動制御を確認していく。
新型パジェロはトライトンのラダーフレームを基本骨格とする、本格的なクロスカントリーSUVとして復活した。2.4リッター直列4気筒クリーンディーゼルターボエンジンに8速ATを組み合わせ、三菱独自のスーパーセレクト4WD-IIとS-AWCを搭載する純内燃機関車だ。電動化を導入しない新型車というのは昨今では珍しく、むしろ新鮮で安心感すら感じる。今回の試乗ではスーパーセレクトを4HLc、すなわちセンターデフをロックした4WDを基本設定として走行した。
車体寸法は全長4920mm、全幅1925mm、ホイールベース2870mm。20インチの標準装着ノーマルタイヤ装着車で、最低地上高は230mm。これはリヤのデフケースのもっとも低い位置の数値だ。深い砂を相手にする場合、十分な最低地上高だけでなく、タイヤを空転させすぎず、車速を保つ制御が欠かせない。
砂地の特設コースは平地部の深さが30センチ前後に整えられ、最大25度に及ぶ斜面もある。それは歩行も困難なほどで、果たしてノーマルタイヤで走れるのか。圧巻のコースに圧倒される。
まずは助手席でテストドライバー氏の運転と解説を聞きながら試走。車内でまず印象に残るのは、砂地を走っていることを忘れそうな静かさだ。ディーゼルエンジンの音は抑えられ、荒れた路面でも足まわりから大きな衝撃音や車体のきしみが出ない。ステアリングへのキックバックも少ないようで、パワーステアリングの助けもあって扱いやすいという。タイヤが砂を踏み、車体が起伏を越えているはずなのに、室内には路面の厳しさが伝わりにくい。袖ヶ浦サーキットで試乗したときのオンロード試乗でも確認した静粛性と上質な乗り味は、この過酷な砂地でも保たれていた。
路面の様子を把握するのに役立つのが、フロントアンダーフロアビューを含むカメラシステムだ。4HLcで低速走行すると、自動的にカメラが起動し、モニターを通してエンジン下の路面を視認できる。砂丘の登坂斜面では、ボンネット越しに前方の路面が見えなくなることがある。カメラ映像で前輪の先にある地面や傾斜を確認できれば、タイヤをどこへ置くか判断しやすい。センターモニターには車体のロールやピッチ角など傾きが表示され、斜面の角度を確かめながら進める。悪路で画面を凝視するわけにはいかないが、視界が切れる場面で状況を補う装備として実効性がある。
