WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

【試乗】ついにミニバンの日産セレナにe-POWERを搭載! 大ヒット間違いなしの完成度 (1/2ページ)

【試乗】ついにミニバンの日産セレナにe-POWERを搭載! 大ヒット間違いなしの完成度

構成はノートと同じもパワートレインはセレナ用に専用チューン

「充電を気にすることなく、どこまでも走れる。電気自動車のまったく新しいカタチ」。それがノートに続き“e-POWER”を搭載したセレナe-POWERだ。電気自動車でありながら外部からの充電なしに、1.2リッターエンジンで発電して電気を貯めてモーター走行できる、かつてない“シリーズハイブリッド”のミニバン、インテリジェントモビリティなのである。

 まずは従来より設定のあるスマートシンプルハイブリッド(以下、S-HV)との違いから。エクステリアではブルーアクセントの追加、ハイウェイスターを含む全グレードの15インチスペシャルエアロホイール、リヤサイドスポイラーが装備されている。インテリアではブルーアクセントの加飾&スタータースイッチ、メーター、バイワイヤーシフトノブ、前席中央下にバッテリーとインバーターを収めるため新設されたコンソールトレイがe-POWER専用だ。

 そしてセレナe-POWERは7人乗り限定となる。つまりセレナ独自のユーティリティポイントだったマルチセンターシートは廃止。2列目席はS-HVの2列目席左側席にアームレストを付けたものを左右に2脚設置。この設定はヴォクシー&ノアHV、ステップワゴンスパーダHV同様で、上級グレードとしての位置付けからより贅沢な着座感が得られるキャプテンシート仕様とし、またハイウェイスターでも燃費優先のエコ15インチタイヤを履くことから耐荷重(フル乗車時の車両総重量)の要件も含まれる。

 では、2017年の国産コンパクトカー販売台数No.1、2018年1月国産乗用車販売台数No.1であるノートe-POWERとはどう違うのか? じつはノートとセレナのe-POWER同士では車重が540kgも違う(S-HV比較では80kg前後重い)。そこでリーフと同じEM57と呼ばれるモーターの出力を25%UPさせて136馬力/320N・mに。同時にバッテリー容量を20%アップの1.8kWhに。そして1.2リッターエンジンの出力を7%アップの84馬力に増強しオイルクーラーを追加。

 これで素早い加速力、バッテリー走行距離の拡大、高負荷対応が実現・可能になったのである。さらにノートe-POWERにない機能としてマナーモード、チャージモードを新装備。

 マナーモードとは深夜の住宅街の走行などで便利な、強制的にモーター走行させるエンジンがかかりにくい制御のこと。それと連動するのが事前にエンジンで発電し、バッテリー容量を貯めておくチャージモードだ。もちろん室内空間の大きさから、電気自動車にとってつらい暖房出力性能も向上させているという。

 ちなみにバッテリーが90%充電状態でのモーター走行距離は最大約2.7km。また、1.2リッターエンジンの出力アップは、たとえばバッテリー残量が少ない場面で急勾配のワインディング「箱根ターンパイク」を登り切れる性能要件で決められたのだ。

 しかし、セレナe-POWERがミニバンにまったく新しい世界、快適性能をもたらしてくれた最大のポイントは、モーター走行によるウルトラスムースな加速性能、電気自動車ならではの静粛性だろう。

 フロントラミネートウインドウガラス、日産初の4層センターフロアカーペットなど25アイテムにおよぶ遮音材を追加。エンジンが始動したときのノイズレベルはノートe-POWER比20%減という。

 クラストップレベルとなる26.2km/Lの燃費性能はもちろんだが、個人的にはアクセルペダル操作だけで加減速、停止まで行える「ワンペダル」機能こそが新しい世界感だと思っている。

 EVでもブレーキ操作はドライバーのペダル操作にゆだねられ、下手なドライバーがブレーキペダルを踏めば不快な前後Gが発生。とくに重心の高いミニバンだと乗員の上半身、頭は大きく揺れて不快なだけでなく、疲労感にも直結。クルマ酔いの原因にもなる。

 しかし、ノーマル/エコ/S(スマート)から選べるドライブモードのエコ/S(スマートモード)で機能する、アクセルオフによるノートe-POWERと同じ最大0.15Gの減速力(リーフは最大0.2G)が得られるワンペダル操作なら、下手にブレーキを踏まれるよりはるかにスムースに減速する。

 しかもノートe-POWERにはない、ミニバンの重心の高さに配慮したと思われる約60km/h以上になると、減速Gを0.1G以下に抑える制御まで盛り込まれているのだ。速度域の高い高速走行で、より自然な減速力を発揮してくれるわけである。そのため終始、誰もがブレーキングの達人になったかのようなスムースさ極まる減速操作を行え、ミニバンの後席乗員の快適度を飛躍的に向上させてくれるわけだ。

 しかも、ブレーキを踏む機会が70%減にもなるという(ノートe-POWERのデータ)ワンペダルドライブは、長時間・長距離ドライブにおいて、同一車線半自動運転のプロパイロット(上級グレードにのみオプションというのが残念だが)とともに、ドライバーの疲労度低減に直結する。

 そうそう、個人的にもセレナS-HVで不満だったメーター内の遠く、小さいインフォメーション画面に表示されていたバックカメラなどの映像は、このe-POWERからナビに移動。見やすさは大幅に改善されている。

 また、プロパイロットの制御そのものは変わっていないが、カメラが判断してからのレスポンスがモーター駆動のほうが早いため、追従性能が向上したかのように感じられて前後方向のギクシャクも減少。プロパイロットそのものが進化したように感じられるほどである。つまり、e-POWERとミニバンの相性は想像以上にいいのである。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了