この記事をまとめると
■SUV市場は拡大しているがそのなかで日産エクストレイルは苦戦を強いられている
■現行エクストレイルはe-POWER専用化と値上げにより購入の障壁が高くなった
■販売の多くをノートとセレナが締めるために「日産=実用車」というイメージも強くなった
現行モデルになって大きく販売台数を減らしたエクストレイル
いまはSUVの人気が高く、新車として売られる小型/普通乗用車の30〜40%を占める。国内販売ランキングの上位にも、トヨタ・ライズ(2025年1〜12月の1カ月平均登録台数は約8400台)、トヨタ・ヤリスクロス(約7250台)、ホンダ・ヴェゼル(約5600台)、トヨタ・カローラクロス(約5000台)、トヨタ・ハリアー(約4400台)などが入る。
ところが、日産エクストレイルは最近の売れ行きが低調だ。2025年1〜12月の1カ月平均登録台数は1661台に留まった。価格が同等以上になるハリアーの38%に過ぎない。
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過去を振り返ると、エクストレイルは日産の国内販売を支える主力車種だった。3代目の先代エクストレイルは、2015年に1カ月平均で約4700台が登録されている。つまり、エクストレイルは過去10年間で売れ行きを35%まで落とした。現行エクストレイルは、なぜ売れなくなったのか。
もっとも大きな理由はグレード構成と価格の変化だ。先代エクストレイルのパワーユニットには、ハイブリッドとノーマルガソリンエンジンが用意されていた。後者でもっとも安価なグレードは、モデル末期の時点で実用装備を充実させた20Xi・2WDの316万1400円であった。
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一方、現行エクストレイルのもっとも安価なグレードは、S・2WDの384万3400円だ。最低価格が約70万円値上げされた。売れ筋になる中級グレードで4WDも備えたX・e-4ORCEは434万9400円(2列シート)に達する。
エクストレイルが値上げされた一番の理由は、パワーユニットがハイブリッドのe-POWERのみになったからだ。しかもエクストレイルのe-POWERは、発電用エンジンとして、圧縮比を変化させる画期的な機能を備えた直列3気筒1.5リッターターボを使う。これらのコストアップが価格も高め、売れ行きを下げた。
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ちなみに日産に限らず、メーカーの開発者から「ノーマルガソリンエンジンの販売比率が低いため、これを廃止してハイブリッドに特化した」という話を聞くことがある。理屈には合うが、車種のイメージを変える場合も多い。エクストレイルも、先代型では300万円前後のノーマルガソリンエンジン車が求めやすい印象を作っていたが、現行型ではハイブリッドに特化され、ほぼ400万円以上の価格帯になって割高な印象を与えてしまった。
最近の日産車のラインアップも影響を与えている。2025年に日本国内で販売された日産車のうち、40%以上を軽自動車が占めた。そこにコンパクトカーのノート&ノートオーラ、ミニバンのセレナを加えると、2025年に国内で新車として販売された日産車の78%を占めてしまう。
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日産のブランドイメージも変わり「小さな実用車とセレナのメーカー」になった。カッコイイSUVから離れていくため、エクストレイルの売れ行きにもよくない影響を与えたのだ。