
この記事をまとめると
■日本における新車市場でのEV販売比率はわずか1.4%と低迷している
■新型リーフと改良bZ4Xがほぼ同時期に投入された
■現時点では航続距離と価格で勝るbZ4Xが優勢だ
大幅改良で絶好調なトヨタbZ4X
日本ではエンジンを搭載しない電気自動車の車種数が少ない。そのために、乗用車市場における電気自動車の販売比率も、2025年の実績でわずか1.4%だった。このなかで目立った動きは、日産リーフが2025年10月にフルモデルチェンジを行い、トヨタbZ4Xがほぼ同時期に大幅な改良を行ったことだ。
前述のとおり、日本では電気自動車の販売が低調で、従来型の時点ではリーフとbZ4Xも伸び悩んでいた。販売合戦を展開する以前の状態だが、両車ともに、少なくとも日本国内では電気自動車の代表だ。同時期にフルモデルチェンジや改良を受けるとなれば、お互いに意識するのは当然だろう。
注目されたのはbZ4Xの動向だ。以前のbZ4X・Zは、駆動用リチウムイオン電池の総電力量が71.4kWhで、1回の充電で走れる距離はWLTCモードで559kmだった。それが改良後は、総電力量が74.7kWhで、シリコンカーバイド製半導体なども採用され、1回の充電で走れる距離が1.3倍の746kmに伸びた。電費も向上した。
bZ4X・Zはこの画期的な改善を施しながら値下げも行った。以前のbZ4X・Z・2WDの価格は600万円だったが、現在は550万円だ。買い得度を大幅に強めた。ユーザーから見れば、リーフのフルモデルチェンジも、ある程度は意識しただろう。
その根拠は新型リーフの価格だ。リーフB5・Gは55kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載して、1回の充電で走れる距離がWLTCモードで469kmだ。価格は564万8500円になる。リーフB7・Gは78kWhを搭載して、1回の充電で685kmを走できる。価格は599万9400円だ。
以前のbZ4X・Zは、前述のとおり、1回の充電で559kmを走行できて価格は600万円だった。新型リーフB7・Gは、以前のbZ4X・Zを上まわる685kmを走れて、価格は若干安い。これは新型リーフがbZ4X・Zを視野に入れて開発していたことを示している。
そこでトヨタは、bZ4X・Zが1回の充電で走れる距離を746kmに伸ばしてリーフB7・Gの685kmを上まわり、なおかつ価格は550万円に値下げして、リーフB7・Gの599万9400円よりも50万円近く安く抑えた。少なくともユーザーからは、そう見える。
この比較からわかるとおり、現時点ではbZ4Xが買い得だ。そして、日本で販売しにくい電気自動車では、このような競争を繰り返しながら、互いに商品力を高めていくことが大切になる。
近年は日本メーカーも海外市場を重視して車両を開発するようになり(世界販売台数の80%以上を海外で売るメーカーが多い)、国内市場の重要度が下がり、国内の競争関係も薄れた。とくに2000年代終盤のリーマンショック以降は、国内の競争を互いに避けるようになり、ユーザーの不利益になる値上げも相次いでいる。
この状況で、久しぶりにトヨタの「アイツには負けられない!」という意地を見せてもらった。懐かしく、うれしい気分になった。フェアな競争は、とても大切だ。電気自動車の普及と、市場全体の活性化にも、優れた効果をもたらす。
