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【試乗】EVのポルシェなんて……を根底から覆した! カイエンElectricでさらなる運動性能を追求したポルシェの技術力に驚愕 (2/2ページ)

【試乗】EVのポルシェなんて……を根底から覆した! カイエンElectricでさらなる運動性能を追求したポルシェの技術力に驚愕

この記事をまとめると

■新型ポルシェ・カイエンElectricに清水和夫が海外で試乗

■0-100km/h加速2.5秒もさることながら「持続する加速」でEVの壁を超えた

ポルシェは電動化を契機に自らの強みである運動性能をカイエンElectricで再定義した

カイエンElectricで感じたポルシェの新たらしい走り

「電動化とは単なるパワートレインの置き換えではない」ということが、新型カイエンElectric(EV)に試乗してわかったことだ。ポルシェの走りといえば、911カレラに象徴されてきたが、近年の電動化と知能化という多様化の時代に(ユーザーの価値が多様化している点を見逃してはならない)、ポルシェは新たな答えを提示してきた。これは単なる電動化ではなく、新しいポルシェの走りが提示されている。

エンジンを失って見えた本質

 長年、ポルシェといえば水平対向エンジンこそがポルシェらしさであった。いってみればポルシェ教の教祖さまみたいな存在だ。ドライバーの背後から響くあの機械的な脈動こそがブランドの象徴であり、運転の歓びの核心だと信じてきた。しかし、その価値観は静かにそして決定的に覆されつつある。

 初のEVであるタイカン(2019年)に乗ったとき、筆者はどこか懐疑的であった。それはテスラ・モデルSへの対抗心をあらわにした存在であり、ポルシェの本質とはどこにあるのか理解に苦しんだ。しかし、タイカンに続くEV二作目のマカンEVではその印象が変わる。「これはポルシェだ」と直感したのである。

 そして今回のカイエンElectric。結論からいえば、これはもはや「エンジンの有無」という議論を無意味にするほど、新しいポルシェの走りがそこにあった。カイエンElectricのコクピットに収まり、ステアリングを握った瞬間に伝わってくる一体感。シートが身体を支え、シャシーと神経が直結しているような感覚。それは紛れもなくポルシェそのものであった。

0-100km/h加速2.5秒の意味

 度肝を抜かれたのはカイエンElectric turboのメガトン級の速さだ。0-100km/h加速は2.5秒。油断してフルスロットルにすると、ドライバーの首に大きなストレスが加わる。計算すると加速Gが1Gに近い。しかし、このクルマの本質はそこにはない。800Vという高電圧を使えるので、ポルシェ初のアクティブサス(ポルシェ・アクティブ・ライド)の出来が凄い。詳しくはあとで説明する。

 標準のカイエンElectricは0-100加速が4.8秒なので、スバルのトレイルシーカーと同レベルだから驚きなないが、こっちのサスはポルシェ標準のエア・サスペンションと可変ダンパー(PASM)だ。

 ところで、多くのEVは、発進加速の鋭さでは群を抜くものの、その後の加速持続性に課題を抱える。バッテリーやモーターの発熱により出力が制限され、いわゆる「熱ダレ」が発生するからだ。だがカイエンElectricはその壁を明確に超えてきた。

 その答えはバッテリーとモーターの徹底した熱マネジメントだ。これにより高負荷状態でも出力は衰えず、速度は伸び続ける。ここにあるのは単なる瞬発力ではなく、「持続する速さ」という思想である。ポルシェはル・マン24時間レースをはじめとする過酷な耐久レースにおいて、エネルギーの使い方を徹底的に磨き上げてきた。さらにポルシェはEVのF1レースとして最近話題のFE(フォーミュラE)に参戦し、高性能モーターの熱マネージメントの開発を進めていた。その知見が、いまこのSUVに凝縮されている。電動車の速さとは、その持続性と安全性に他ならない。

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