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中国BYDの軽自動車EV「RACCO」登場でどうなる? 日本メーカーの「軽EV」の勝ち筋を考えてみた【吉田由美の美ーハー・カーライフ】 (2/2ページ)

中国BYDの軽自動車EV「RACCO」登場でどうなる? 日本メーカーの「軽EV」の勝ち筋を考えてみた【吉田由美の美ーハー・カーライフ】

この記事をまとめると

■三菱i-MiEVからはじまった軽EVは「サクラ」や「RACCO」の登場で新たな時代に突入

■BYDとホンダはEVに対して真逆のアプローチを見せている

■日本メーカーが軽EVで勝つために必要な5つのポイントを考えた

選択肢も増えてきた日本の軽EV

「軽自動車のEV」と聞いて、皆さんはどんなクルマを思い浮かべますか? 日産「サクラ」? 三菱「ekクロスEV」? 最近ならホンダ「N-ONE e:」や話題のBYD「RACCO(ラッコ)」を思い浮かべる人もいるかもしれません。

 じつは日本の軽EVの歴史は、意外と長いんです。大きな転期となったのは2009年に登場した三菱「i-MiEV(アイミーブ)」。いまからなんと17年前です。

 i-MiEVは、三菱の軽自動車「i(アイ)」をベースに開発されたEVで、三菱は「世界初の量産電気自動車」として販売開始。当初は法人や自治体などに販売し、その後、一般販売へ。i-MiEVでは、通販番組で販売するなどいろいろ斬新な取り組みを行っていました。ちなみに私も何度か通販番組に出演したことがあったような……。

 いま見ても、かなり先進的なクルマですね。

 ベースとなった「i」は、エンジンを後ろに搭載するRRレイアウト。モーターをリヤの荷室下に、リチウムイオンバッテリーを床下に配置。つまり、ガソリン車をEVにしただけでなく、小さなボディを電気で走ることに合わせて使いこなす、という発想です。

 搭載されたバッテリーは16kWh 、モーターの最高出力は47kWh 、最大トルクは180Nm。いまの軽EVと比べるとだいぶ控えめ(?)に見えますが、当時としてはかなり本気。しかも三菱は、電気自動車の研究を1960年代から続け、i-MiEVは、長年の研究の積み重ねから生まれたEVだったんです。

 2011年には同じ技術を使った軽商用EV「MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)」も登場。毎日決まったルートを走り、夜に帰ってきて充電する、こうした使い方はEVとの相性抜群! 日本では、かなり早い段階から「軽×EV」の可能性が見えていたのです。

 ただ、当時はまだEVそのものが珍しい時代。車両価格、充電インフラ、航続距離、そして「電気自動車って、本当に大丈夫なの?」という心理的なハードルがあり、軽EVが「普通のクルマ」になるには、もう少し時間が必要でした。

 大きく変わったのは2022年。日産「サクラ」と三菱「ekクロスEV」の登場です。この2台は、軽自動車の扱いやすさとEVの静かで滑らかな走りを組み合わせ、「EVだけど、普通の軽自動車として使える」というところまで身近にしてくれました。

 さらにホンダも参入。2024年には軽商用EV「N-VAN e:」を発売。仕事で使う軽バンだからこそ、EVとの相性は抜群です。そして2025年に「N-ONE e:」。航続距離はWLTCモードで295kmで「軽自動車は近所しか走れない」というイメージを大きく変えました。

 そして2026年、軽EVの世界に、ちょっと面白いクルマが海外からやってきました! BYDの「RACCO(ラッコ)」です。発売2週間で1000台を突破したということでも話題です。1000台というとそれほど多い数ではないように思うかもしれませんが、BYDの現在の立ち位置を考えるとこれは大健闘です。

 RACCOはBYDが日本の軽規格に合わせて専用開発した軽EVで、全長3395mm、全幅1475mm、全高1800mmという、まさに日本のスーパーハイト軽サイズ。

 しかも、両側電動スライドドアまで備えています。個人的には、外から開ける際の地面に映し出されるライトガイドが秀逸だと思いました。何しろ、キーを持ってガイドに足をかざせば100%失敗せずに開けることができるため、私は勝手に「失敗しないんです電動スライドドア」と呼んでいます。これだけでも「日本の軽」をかなり研究していることがわかります。

 RACCOの面白いところは、バッテリー。BYDはもともと世界トップクラスの電池メーカーで、BYDが得意とする「ブレードバッテリー」と呼ばれる薄くて長い形状のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池を採用しています。LFPは、一般的な三元系リチウムイオン電池に比べて熱安定性や耐久性に優れるのが特徴。

 RACCOには2種類のバッテリーが設定され、グレードは3タイプ。「RACCO 200」には 22.4kWhで1回の充電で走行可能距離はWLTCモード210km。「RACCO 300」には「300 Plus」と「300 Premium」の2グレードあり、こちらは35.8kWhで320km!! 価格は214万5000円から249万7000円。CEV補助金は全グレード15万円です。

 さらにマニアックなのは、バッテリーパックを車体の骨格の一部にする「CTB(Cell to Body)」。そして、RACCO専用に開発された電源系の部品を高密度に統合した「X-PACK」。駆動用バッテリーだけでなく、電子制御ユニット、DC-DCコンバーター、車載充電器、高電圧配電ユニットなどをバッテリーユニット内に高密度に統合。これによってモータールーム前方に128mmの空間を確保し、そのスペースを衝突時にエネルギーを吸収するように作っています。

 軽自動車はボディサイズが決まっているので、そのなかで「128mm」はかなり大きい。小さいクルマだからこそ、パッケージング技術が安全性に直結するのです。

 さららに、6つのエアバッグに加えペダル踏み間違い時の加速抑制やドライバーモニタリングなど、予防安全装備も充実しています。つまり、「中国のEVは燃える」とか「危ない」というネガなイメージへの対策を徹底的に行ってきたのです。

 また、面白いのはRACCOはモーターの最高出力47kW 、最大トルク160Nm。BYDは日本の住宅街や坂道などを想定し、日本専用のモーターを開発。サスペンションも日本の段差や減速帯、連続カーブなどを研究して専用チューニングしています。これは、「海外用の小型EVを日本にもってきた」わけではなく、「日本の軽自動車をEVメーカーの目線で作った」ということです。

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