
この記事をまとめると
■SUPER GTでは1台のクルマを使って複数のドライバーが戦う
■ドライバーによって体格が異なるので発砲ウレタンなどを使ってシートを調整する
■何も装備を使わずにドライバー側がどちらかのポジションに合わせて乗ることもある
ドライバー交代ってどうやってるの?
1台のクルマを数名のドライバーが交代しながら長時間/長距離にわたってポジションを競う耐久レースでは、ときとしてピット作業がリザルトを左右する。なかでも、ドライバー交代はなかなか手間のかかる作業だ。市販のロードカーであれば、ドライバーの手足の長さに合わせて、シートおよびステアリング位置をレバーやボタンで調整可能だが、レーシングカーの場合は調整不可のマシンも珍しくはない。
さらにレーシングマシンはコクピットが狭いうえに、ドライバーはヘルメットやレーシングスーツなどのアイテムを着用しているほか、シートベルトも6点式のフルハーネスで、なおかつハンス(事故の際に頚椎を守る装備)を着用する必要があることから、ドライバー交代はかなり大変な作業といえるだろう。
しかも、ドライバーの体格も個々で異なることから、どうしてもシートの大きさ/位置などを調整する必要が出てくるが、体格差がある場合、レーシングドライバーたちはどのようにシート調整を行っているのだろうか?
というわけで、8月22日〜23日、スーパーGT第5戦「鈴鹿GT300km RACE」が開催されている鈴鹿サーキットで、数名のドライバーを直撃。シビアなバトルが展開されるスーパーGTでのドライバー交代におけるシート調整の秘密をクローズアップしたい。
まず、一般的に小柄なドライバーが乗り込む場合、必須のアイテムとなっているのが、自分の体型に合わせて作られた発泡ウレタンで、これをアダプターとしてシートに装着してマシンに搭乗。aprの31号車「apr LC500h GT」でGT300クラスに挑む女性ドライバーの小山美姫選手もこの発泡ウレタンでシート調整を行っているようで、「LC500hはシートもステアリングも前後に調整することはできないので、フォーミュラカーと同様に発泡ウレタンを使用しています」と小山選手は語る。
もちろん、スーパーGTはドライバー交代を可能な限り、短い時間で行いたいことから、小山選手によれば「シーズン前はチームのファクトリーにいってマシンの乗り込みの練習をしています」とのことだ。
一方、GOODSMILE RACING & TeamUKYOの4号車「グッドスマイル初音ミクAMG」でGT300クラスに挑む谷口信輝選手、片岡達也選手も体格差のあるコンビだが、意外なことにレース中は発泡ウレタンによるシート調整は行っていない。
谷口選手は「タイヤテストとかで長時間を走る場合は詰め物(発泡ウレタン)をするけれど、レースは1人のドライバーが乗っている時間は1時間ちょっとだから、我慢すればすむからね。詰め物を入れる時間がもったいないから使用していない」と前置きしたうえで、シート調整について次のように説明してくれた。
「BMW Z4で参戦していたときはシートが前後に動いたからシートベルトが谷口用/片岡用とそれぞれあったけれど、メルセデスAMGはシートが固定でペダルとハンドルが動くから、ひとつのベルトで済んでいる。事前にレーシングシートは作るけれど、基本は片岡に合わせて作成。当然、座高の高さが違うから、片岡はもう少し上げたい、俺はもう少し下げたいという状態でドライビングしている感じかな」と谷口選手は語る。
さらにチームメイトの片岡選手も「シートに関しては、俺はキュッとなるけれど、谷口さんはかなり緩めだと思う」と付け加える。
このようにスーパーGTに挑むトップドライバーたちは短い時間で、自分に合わせたドライビングポジションに変更したり、多少、乗りづらさを許容したうえで、激しいバトルを戦っているのである。
