「数少ない短納期車種だったのに……」 ダイハツの不正がトヨタの販売現場にも混乱を及ぼす! (2/2ページ)

新型セレナは納期が短い!

 さらにたとえばノア&ヴォクシーでは、本稿執筆時点ではハイブリッドでパノラミックビューモニターを選択したもっとも長めのケースでは、納車予定時期が2024年秋以降となっている。一方でライバルのステップワゴンは同じく本稿執筆時点で工場出荷時期の目途は1年以上先となっている。ノア&ヴォクシーのほうがやや推しのなか、ステップワゴンも比較検討しているならば、「ステップワゴンも1年近く待つなら、五十歩百歩ということでヴォクシーにするか」ということになることも多いだろう。

 ただし、セレナは事情が少々異なり、e-POWER車であっても100V電源をメーカーオプションで選択しない場合、本稿執筆時点で注文を入れると、遅くとも9月中には納車となるのではないかとのことなので、いまどきではかなりの短納期となっている。ノア&ヴォクシーやステップワゴンほど待ちたくないという人はセレナe-POWERに流れるということも考えられるが、ライバル車より納期が早いことを単に生産体制が整っていることが理由なのか、それとも受注状況が思ったより芳しくないためなのか、そのあたりははっきりしていない。

 ただ人気のSUVではトヨタ車では納期遅延どころか新規受注を停止している車種も目立つが、日産エクストレイルや、ホンダ・ヴェゼル、同ZR-Vなどトヨタ以外のメーカーでも人気モデルのハイブリッド車などでは納車まで1年以上待つことになるので、新規受注停止していなければ「それならトヨタ車で……」ということになり、納期遅延を承知しながら続々とトヨタ車に新規受注が入り続けているのである。トヨタ以外のメーカーで納期の改善が進んでいるとはいえ、発注後3カ月で納車となればいまどきは早期納車といわれている状況下では、「それでもトヨタ車」という選択が目立っているようである。

 5月は大型連休明けから事実上、夏商戦がスタートするのが一般的。ただし現状では、5月に新規受注しても、夏商戦最終時期となる7月までに納車が間に合う車種はかなり限定的となっている。2023年5月単月の統計数字に勢いがないように見えるが、いままでなら「納期遅延で受注しても、登録(軽自動車は届け出)がなかなか進まず販売統計数字に悪影響を与えている」としてきたのだが、消費者サイドでも「新車って購入しても納車まで時間がかかるんでしょ」というような話が頻繁に出てくるほど納期遅延が広く周知されるようになっており、さらに新車価格の値上げも頻発し、値上げを発表していない車種でもメーカーからの仕入れ値がすでに高騰しており、値引き条件も全般的に引き締まっているので、統計数字がふるわないことを単に納期遅延のせいだけにすることもできず、問題はさらに複雑なものとなってきているといっていいだろう。

 軽四輪車全体では相変わらずダイハツがブランド別で販売トップとなっているが、5月にダイハツでは認可申請における不正行為が発覚している。当初は海外向けモデルだけであったが、その後は国内向けモデルでも不正行為が発覚した。ダイハツからのOEM(相手先ブランド供給)のトヨタ車はライズのHEV(ハイブリッド車)を除けば、とくに人気車のルーミーは納期も早く現状でのトヨタ車の稼ぎ頭でもあったのだが、不正発覚後はライズのHEVは新規受注停止となり、そのほかでも軽自動車のピクシスまで含み納期が混乱し、トヨタ系ディーラーのセールスマンからは、「ダイハツOEM車は数少ない納期が早めのクルマだったのに」とため息まじりの声も聞かれた。

 こうなると、6月以降の軽自動車販売台数の動きに変化が起きるのか(当然ダイハツブランド車の生産体制も混乱が生じているはず)、それとも起きないのか、そこが大いに気になるところである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報