まず思ったのは、スカイライン(R32)もクラシックカーになったんだな、ということ。アメリカには、通称25年ルールといわれる「クラシックカー登録制度」があり、25年以上経過しているクルマは、排ガス検査なしでアメリカに輸入できるという制度がある。この影響で、1991年以前の国産スポーツモデルの人気が、アメリカで高まっているわけだが、そのことを抜きにしても8万2500ドルという価格が、スカイライン(R32)が立派なクラシックカーになったことを雄弁に語っている。

経済学では、「使用価値」と「交換価値」が、モノの価値の二大形態といわれている。だが、その両者では、1989年式のスカイラインGT-Rに1000万円超の価値が付くことは説明できない。となると、第三の価値、「象徴価値」つまり、グループAでの活躍云々を含めた、GT-Rの「物語=伝説」を共有することに価値を感じているということ。もちろんこの個体自体の程度の良さは影響しているだろうが、1000万円の価格の中身の大半は、「物語」なわけだから、これはもう立派な「クラシックカー=名車」といわざるを得ない。
でも、それは決して否定的な意味ではなく、スカイラインGT-Rが世界的に名車であると認められたことを意味しているので、ある面、非常に喜ばしい。真の名車とは、そして真のエコカーとは、みんなに愛されることが条件。ポルシェ911は生産されたクルマの8割近くが廃車にならず、今も走り続け、あるいは保管されているという。