【試乗】まわりのクルマが止まって見える! ポルシェ911 GT2 RSの速さは瞬間移動のよう (2/2ページ)

富士スピードウェイなら間違いなく300km/hを超える

 ポルトガルのアルガルヴェ・サーキット。テスト車両はカーボン製のスタビライザーやチタンマフラーなどを採用し、さらに約30kgも軽いヴァイザッハ・パッケージ仕様が用意されていた。ちなみに6点式のハーネスとチタン製ロールゲージをパッケージオプション化したクラブスポーツ仕様も、いつもながら設定されている。

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 先導車両が918という、テンションの上がるポルシェの演出に感謝しながらも、1ラップしてメインストレートに戻ってくると、その真なる理由を理解した。逆に918でなければその役目をまっとうできなかったのだ。それほどGT2 RSが速いのである。

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 ストレートではやや離されるが、車重が軽いためにコーナリングでは918の影を捉えることができる。メーター読みだが、ストレートエンドで最高速292km/hを確認。富士スピードウェイならば300km/hを超えるだろう。まさに超絶な速度領域に棲むモデルだが、ドライビング自体は7速PDKの恩恵もあって、操縦がしやすく、コクピットは快適に保たれているのだから凄いとしか言いようがない。

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 最初はダウン、アップともにパドルシフトを駆使していたが、3速の加速が鋭すぎてレブリミッターに達してしまい、高速コーナーではシフトアップが遅れる可能性があったため、途中からDレンジに戻して走行した。ダウンシフトはパドル、アップシフトはシステムに任せる。これはGT3でも有効なテクニックだが、PDKのポテンシャルを最大限に引き出さないとエンジンパワーを使いきれない。それほどエンジンが速いのだ。

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 7500rpmまで回るため、ターボユニットらしくないが、フロントのトランクリッド内に5リットルのウォーターサージタンクがあり、熱負荷が増した際に、水冷式インタークーラーに自動で水が噴射され、専用設計のミシュラン・パイロットスポーツカップ2(21インチ)とあわせて、全開ラップを重ねてもパフォーマンスダウンが少ないのも印象的だった。

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 ポルシェの発表によると、350kgのダウンフォースを得ているというGT2 RSだが、フロントサイドにある大型ダクトはブレーキの冷却用としてだけでなく、911のレーシングGTマシン同様に、このエアベントはセンターラジエターを通過するエアフローをサポートしながらフロントタイヤのダウンフォースを高めている。その効果はとくに高速コーナーで発揮され、車体が軽いこともあって前を走る918を追い詰めることもできたというわけだ。GT2 RS、恐るべし!である。

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「ニュルで速いと、世界中どこのサーキットでも速いですから」。

 ポルシェのモータースポーツ&GT部門開発責任者のフランク・シュテファン・ヴァリザー氏はそう語っていたが、日本のサーキットでGT2 RSが試す機会が待ち遠しいかぎりである。

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