【試乗】ジャジャ馬ぶりも味! 復活のアルファロメオ・ジュリアが魅せた操る歓び (2/2ページ)

リヤ駆動でも500馬力を使いこなせるトータルバランス

 その乗り味だが、クワドリフォリオは、予想に違わず刺激に満ち溢れている。アクセルを深く踏んだ時の加速力の強さはもちろんだが、その際の排気音と変速感が癖になりそうなほど気持ち良い。イメージとしては、アメリカンなV型の野太い音のなかに、管楽器が奏でられるようなイタリア調の官能要素が入り、万人受けしそうな仕上がり。しかし力強さのなかに上品さがある見た目と同様に、ドライビングモードをノーマルで走る限り、その刺激を完全に隠して走ることも可能なのが興味深い。

 また500馬力オーバーをFRで大丈夫? と若干心配しながら乗り込んだが、この仕上がりは見事。高剛性ボディは当然として、しなやかに動く電子制御式ダンパーの姿勢抑制効果、さらに極め付けはエンジンをフロントミッドシップに搭載したことで得た前後重量配分が良く、4つのタイヤのグリップが絶えず安定しているし、姿勢変化が少ないのが好印象。

 それにより慣れている方なら、旋回中にリヤが若干ムズムズと路面への接地感が不足している感じがあったら、少しだけアクセルを踏み荷重をかけてムズムズを消すなんて芸当も簡単にできる。

 まさにFRの楽しさを存分に味わえるのだが、一つだけ気になるのがハンドリング。ハンドルの切り出しに、グイッと曲がる特性がある。イメージとしてはアクセルを少し踏んだだけでグイッと加速するなどのハンドル版。刺激に繋がるし、よく曲がると錯覚はしやすいが、若干コントロールしづらい。曲がり出してからのコントロール性はとても良いので、これがアルファロメオのほかにはない味だ! と言われたらそれもアリだが、素直さが好きな方は若干気になる可能性もある。

 しかし、解決策もある。この特性が気になるならヴェローチェがオススメ。四輪駆動になり、フロントがグイグイ引っ張ってくれる特性が強まることで、ハンドル切り出しのグイッと曲がる特性が緩和されて、とても素直なハンドリング特性になるのだ。

 ちなみに乗り心地にこだわる方は、ヴェローチェにOPの電子制御サスを装着すると良いだろう。クワドリフォリオも電子制御サスが入っており、実用十分な快適性を備えるが、ホイールサイズが19インチ。ヴェローチェは18インチで、四輪駆動での走行性能底上げで若干足まわりにも余裕がでてしなやかなので、電子制御サスを選択したらこれが快適サルーンモデルになる。

 V型6気筒ではなく直列4気筒になり、加速は? と思うかも知れないが、当然ハイパフォーマンスのクワドリフォリオから比べたら劣る。しかし日常に照らし合わせたら絶対に不満が出ない加速力は備えているし、デュアルクラッチの刺激などはダイナミックモードで走ると健在だしオススメだ。要はさらなる速さは当然だが、非日常の扉を開ける刺激が欲しかったらクワドリフォリオという考えで良いだろう。

 最後に、それら刺激と速さ、さらに快適性を“適度に”不満を抱かないレベルで備えているのがスーパーだ。コストまで踏まえると、これがもっともお買い得だろう。

 なぜならクワドリフォリオ基軸で作られたクルマなだけに、ベースモデルの完成度がとても高くなっているから。このような完成度を前にすると、新生アルファロメオの残る7モデルも早く登場してもらいたいと同時に、気になって仕方ない。


新着情報