世界中のクルマ好きが認める驚異の存在! ポルシェ911がここまで愛され続けるワケ

圧倒的な個性を歴代保ち続けている

 ほかのクルマとは間違えようのないデザインだったり、タルガやカブリオレのようなオシャレなモデルからGT系のような硬派なものまで揃うラインアップの幅広さだったり、ポルシェ911の人気の理由を考え出したら、キリがない。でも結局のところ、それらをまとめて言うならば、911が他に類を見ないほど独創的な存在だから。人気の理由は、それに尽きる。

 そもそも水平対向6気筒エンジンを車体後部に搭載するRR、そしてそれをベースとする4WDというメカニズム自体が、圧倒的な個性である。そのほかにはないメカニズムをそのまま薄皮で包んだかのようなエクステリアのデザインが、他のクルマと間違えようがないものになるのも、これまた当然だろう。

 そもそも1948年にデビューしたポルシェ最初のスポーツカー、356で用いられた水平対向4気筒エンジンを車体後部に搭載するレイアウトは、当時としては十分に理に適ったものだった。フロントエンジンでは有効なトラクションが得にくいが、ミッドシップでは2シーターとせざるを得ず、対象ユーザーが限定されてしまう。それを解決するにはRRレイアウトが最良のチョイスであり、水平対向エンジンにすれば重心が下げられ、デメリットを補って余りあった。もちろん、VWタイプ1と部品を共用化できるというのも、その一要素だ。

 しかしながら1963年にデビューした911は車体が大型化され、エンジンも6気筒となったことから当初は操縦性に難を抱えていた。ところがポルシェは、それを持ち前の技術力、開発力により毎年のように改良を加えていくことで克服してみせる。何しろ空冷エンジン時代の911は、デビューからずっと改良を続けながら、じつに1996年まで現役であり続けたのだ。これは、まさに執念と言ってもいい。

 もちろん、操縦が簡単だったわけではない。しかし上手く走らせれば確実に速いことは、モータースポーツでの活躍などが証明していた。これもドライバーを鼓舞する要素だったことは間違いないだろう。

 その後の911も同様に、ほぼ毎年のように改良が加えられ、つねに性能を向上させてきた。この偏執狂的とまで言えるほどのエンジニアリングへの傾倒ぶりも、911の大きな魅力だ。しかも、既存のモデルを凌駕する新しいモデルが次々と登場するのは、オーナーにとっては本来ショックなことのはずだが、911の場合はそれは当てはまらない。どのモデルにも固有の味わいがあって、その世代ごとのファンが居るのである。

 ポルシェについてトヨタ86、そして次期型スープラの開発を指揮するトヨタ自動車の多田哲哉チーフエンジニアは、こう言っている。

「芸術品、工芸品としてのスポーツカーはいくつもあるけれど、工業製品としてのスポーツカーとして圧倒的なのはポルシェです」

 要するに、眺めたり味見したりというだけでなく、本気で走らせたくなるし、それに応えてくれる。乗ってこそ価値があるスポーツカーがポルシェだということ。911は、まさにその象徴なのだ。

 ああ、こんなことを書いていたら、911に乗りたくなってきた!


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