なぜ普及しない? 全車に標準装備されるべき秀逸なクルマの装備7選

ユーザーにとって得はあれど損はない装備

「これ便利なのに、なんでもっと普及しないんだろう?」そう思う装備って、じつはたくさんあるものです。スズキ アルトが日本初採用した、スカートを履いた女性が乗り降りしやすいようにとフロントシートがくるりとドア側に回転する機能とか、過去にはちょっと時代が早すぎたり、コストがかかりすぎたりして消えてしまった便利装備もあるんですけどね。今現在、実用化されている装備のなかで、これはもっと普及してもらいたい! というものを挙げてみましょう。

1)最適ポジションに調整できるシートバック中折れシート

 まず車内で快適に過ごすための装備では、日産エルグランドのセカンドシートに採用されている「シートバック中折れ機能」。一般的なクルマは、リクライニングというと背もたれ全体の角度が変わるだけですが、この中折れ機能はちょうど脇の下あたりの位置にもう1つ小さなレバーが付いていて、肩甲骨から首あたりの角度が別で変えられるようになっています。

 これが、一度使うとすごくいい! 背もたれ全体の傾斜だけだと、腰から背中の真ん中くらいまでは背もたれにフィットするんですが、そこからヘッドレストにもたれる頭にかけて、どうしても浮いてしまう感じになる場合があるんです。この中折れ機能はそこを、ちょうどいい角度にしてフィットさせてくれるんですね。

 エルグランドのセカンドシートにはグレードによってオットマンもついているので、足を伸ばして座る時にこの中折れ機能を調整すると、かなり快適な姿勢でリラックスできます。大きなシートだからこそ付けられる装備だけど、これはもっと普及してほしいなぁ。

2)電動サードシート格納機能

 そして、シート関連ではもう1つ。後席のシートアレンジ機能で、ラゲッジの両側に備わるレバーを引くと、ワンアクションで前倒しができるクルマはたくさんありますよね。大きな荷物を積み込むときなど、片手でパタンと倒せて、とっても便利。でも、荷物を下ろした後にシートを元どおりにしたいとき、たいていのクルマはいくら待っても背もたれは復帰しません。でもトヨタ エスティマにはそれができちゃうのです。しかも電動!

 サードシートに「電動床下格納機能」があって、スイッチ操作だけで左右別々に床下格納と復帰が一発完了。これは見てても気持ちがいいくらいです。

 まぁ、そのためには床下に入れてある物を出しておかなきゃとか、大荷物さんには面倒なところもあるんですが、SUVやミニバンはシート位置が高くて、小柄な女性には操作レバーが届きにくかったり、シートも重くて持ち上げるのが大変だから、これがもっと普及すればありがたいですよね。きっと、コストもかかるし重量増にもなっちゃうから、敬遠されるんでしょうけどね。

3)ドリンクホルダーの保冷保温機能

 さて、次はそんなシートに座ってくつろぎたい時の便利装備。ドライブしながらスタバのコーヒーを飲むのが好き、という人も多いと思いますが、冬はすぐに冷めちゃうし、夏はアイスコーヒーがぬる〜くなっちゃいますよね。ペットボトルをグローブボックスに入れて、保冷しておけるクルマはけっこうあるのですが、スタバのコーヒーは……入れたらこぼれちゃう。でも、日産Xトレイルの「保冷保温機能付きカップホルダー」なら、そんな残念なコトになりませんよ。

 しかも後席にもあるから、子どもたちもずっと適温のドリンクが飲めて嬉し〜い。これこそ、なんでもっと普及しないのかしら。

4)サッと使えるロールサンシェード

 そしてさらに、子どもたちの快適性を保つのに便利な装備といえば、サっと引き出すだけで日差しの眩しさから守ってくれる「ロールサンシェード」。カー用品店でもたくさん売ってるけど、どうも窓の大きさに合わなかったり、吸盤が弱くなってきてペロンと剥がれてきちゃったり、使い勝手はイマイチです。純正ロールサンシェードなら、窓の大きさにピタリと合っているし、使わない時はシュルシュルと格納できるので、邪魔にならないのもいいところ。

 昔は高級セダンの定番装備でしたが、ミニバンやスーパーハイトワゴンにすごい勢いで普及してますよね。でも、コンパクトカーやSUVにはまだまだ。海へ山へと出かける機会の多いSUVなんて、今すぐ標準装備にしてもらいたいものです。

  

5)雨の日でもすぐに収納できる傘ホルダー

 あとは、雨の日にあったら嬉しい装備として、アンブレラホルダーがあります。と言っても純正で備わるクルマは意外と少なくて、私もカー用品店で買ってきて使っています。マジックテープでヘッドレストにストラップを通してぶら下げるタイプなんですが、ちょっと強く押し込むとストラップが外れて落ちちゃうし、いちばん困るのが雨水がどんどん溜まってしまって、不衛生だしいちいち捨てるのが面倒なこと。

 そんな悩みを解決してくれるのが、雨水を車外に排出する構造となっている、スズキ ワゴンRの「アンブレラホルダー」です。

 全長90cmまでの傘が、リヤドア両側に1本ずつ収納できるようになっています。これも、ミニバンなんかにはもっと普及してほしい装備ですよね。

6)後方視界をカメラ映像で確認するスマートルームミラー

 さて、最後に安全性に関する装備を2つほど。ひとつは、日産やスバルで積極的に採用し始めている「インテリジェントルームミラー」(メーカーによって名称は違う)。これは車両後方についているカメラ映像がルームミラー全体に映し出されるもので、最初はちょっと、見え方で気持ち悪いなぁと拒絶反応を起こしたんです。自分と車両後方との距離感に、やや違和感を感じやすいんですよね。

 でも一度、荷物を高く積んだときに使ってみたら、通常のルームミラー状態では荷物に遮られて後方視界がほとんど塞がれてしまっていたのに、インテリジェントルームミラーにしたら景色も後続車もクリアに確認でき、こりゃ安心だなと。悪天候のときも、ガラスの曇りや水滴などに影響されずに安全確認ができるのは、やっぱりいいですよね。

7)タイヤの空気圧を確認できるモニター

 そして2つ目は、安全のためにもエコドライブのためにも重要な、タイヤ空気圧の数値を常に把握しておける、「タイヤプレッシャーモニタリング」。アウディA4など輸入車の上級クラスには標準装備のクルマが多いのですが、日本車はまだまだタイヤ空気圧警報装置が付くにとどまっているクルマが多くて、それだとあまり意味がないんですよね。

 警告ランプがつくころにはフラフラとハンドルをとられたり、ドライバー自身でもわかるくらいの状態ですから。そうじゃなくて、そのときの空気圧の数値がインフォメーション画面をタッチすれば表示され、いつでも適正値を保っておけるようになるのが理想的。いや、オレは給油のときに毎回測るからそんなのいらない、というマメな人もいるでしょうけど、けっこう面倒ですからね。

 そんなわけで、メーカーの皆さま。コストや手間とのせめぎ合いで、これ全部つけるのは難しいかもしれませんが……。ぜひ、前向きにご検討をお願いいたしますっ(笑)。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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