クルマのボディカラーは派手なほうが安全なのか?

海外の研究データではシルバーが一番事故率が低い

 国産車でよく見るボディカラーといえば、白、黒、シルバー。実際、この三色だけで全体の約7割というデータがあるが、どれも無難な色というのが何とも日本人らしいところ。そうした一方で、ボディカラーは派手な方が安全という説があるが、どうなのだろか。保険会社などで統計を取っていれば参考になったのだが、残念ながら国内のデータは見つけられなかった。ボディカラー

 その代わりといっては何だが、ニュージーランドのオークランド大学の研究では、一番台数が多い白いクルマの事故率を1.0にした際の、色別の事故率は以下のような結果が出ている。

1位、茶色 2.1
2位、黒色 2.0
3位、緑色 1.8
4位、白色 1.0
5位、青色 0.9
6位、黄色 0.8
7位、赤色 0.7
8位、灰色 0.6
9位 銀色 0.4

 このデータを見ると、人気カラーのシルバーが一番安全だということになる。シルバーは光を反射しやすいので昼夜を問わず視認性が高いというのが、根拠として考えられる。

 また、1968年に出版された「Using Colour to Sell」という書籍も有名で、その本によると交通事故率の高いボディカラーは、

1位 青 25%
2位 緑 20%
3位 灰色 17%
4位 白・クリーム色 12%
5位 赤・マルーン色 8%
6位 黒 4%
7位 ベージュ・茶色 3%
8位 黄・金色 2%
9位 その他 9%

 となっている。

 これを根拠に「青いクルマは事故が多い」と噂されることがあるが、先のオークランド大学のデータでは、青は基準となる白よりも事故率は低いので、整合性がとれているとは言えない……。

 ただ、青、黒、紫などの後退色(収縮色)は、人間の目の仕組みの関係で実際の距離より遠くに、小さく見えることがわかっている。反対に赤やオレンジなどは進出色といって、実際より近くにあるように見える。

 東京工業大学の塚田敢博士によると、同じサイズの視力検査に使う「C」マークを使った実験で、赤は35mに認識され、青は28mと、その距離感に7mもの差があるとのこと。こうした人間の目の特性から、青いボディのクルマは、対向車などから認識されるのが遅れたり、距離感を見誤りやすいと考えられるので、赤などの進出色系よりはリスクがあるとも言えるだろう。

 また、この色別の距離感でいえば、黄色が一番正確な距離で認識されるということもわかっている。黄色はとても目立つ色で、危険を表すサインの代表。工事現場や踏切など注意喚起を促すときに、黄色が用いられるのはよく知られている。

 明るい進出色でもあるので、そういう意味では黄色は一番安全なボディカラーのひとつだといえるはず。似合うクルマ、設定されているクルマは少ないかもしれないが、安全性を重視するなら候補にしてもいいのではないだろうか。

 そのほか、黒っぽいクルマも高級感や威圧感があるので、ほかのクルマが近づきたがらないという意味で、比較的安全という説もあるし、白も夜間の視認性がいいので雪道以外は有利といえる。

 いずれにせよ、ボディカラーはクルマ選びの大事な要素。シックでオーソドックスなカラーもいいが、個性的な無難でない色だって魅力があると思う。リセールバリューを考えて……というのもわからなくもないが、せっかくなら本当に自分が好きな色を選んだ方がカーライフが楽しくなる。

 その上で、青色などの後退色のクルマは、デイライトを併用したりして視認性を高めたりしてはどうだろうか。またボディカラーに関わらす、雨天は昼間でもヘッドライトをつけたり、日の出前後や薄暮時に積極的にヘッドライトを活用するのが何より肝心。色は心理的に色々影響があるものなので、より上手に付き合っていきたいものだ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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