クラウン&カローラに搭載! コネクティッドカーの便利さの影にある危険

リスクは極めて大きい

 豊田章男社長と友山茂樹副社長、トヨタの重鎮が自らが東京お台場のメガウェブに一般ユーザーを招待して開催した「コネクテッドデー」というイベント。

 その中身は、新型クラウンと新型カローラの発表会なのだが、これら2モデルを皮切りにトヨタが本気で挑むコネクテッドの世界についてプレゼンテーションが行われた。そのプレゼンに技術的な背景を含めて、筆者なりに補足をしてみたい。コネクティッドカー

 トヨタは今後発売する乗用車のすべてに、クラウドと連携する独自の通信システムを搭載する。これを、データ・コミュニケーション・モジュール(DCM)と呼ぶ。

 クルマの中のデータとは、エンジン制御、トランスミッション制御、パワステ制御など、数十の小型ECU(中央演算装置)のデータが、CAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)という回線の中に流れている。CANからのデータをDCMを通じてクラウドに、ある一定の時間毎に送信する仕組みだ。

 こうして得られたデータは、トヨタ・モビリティ・サービス・プラットフォームと呼ぶクラウド側のシステムで管理される。要するに、世の中にあるトヨタ車の走行状況や使われ方を、トヨタ本社が完全に把握できるようになるのだ。

 では、トヨタ版のコネクテッド化によって、ユーザーはどんなメリットがあるのか?

 たとえば、エンジン不調の兆候が出始めた時、トヨタ側がいち早く察知してディーラーへの修理を手配してくれる。自動車保険についても、走行状態や使い方が良ければ保険料が値引きになるといったサービスがある。また、車載の各種コンピュータのデータを、クラウド側から書き換えたり、上書きすることで、ディーラーに行かなくても機能のアップデートが可能となる。

 さらには、コネクテッド化で得られたデータを基に、飲食、住宅、娯楽など様々な分野とのサービスが連携することで、クルマの活用方法の幅が一気に広がる可能性がある。

 一方で、メーカーがデータを管理することのリスクは極めて大きい。

 個人情報保護の観点では、コネクテッドサービスを活用する際、ユーザーは車載器の画面やスマホアプリで許諾をするのだが、それでも個人情報が流出した場合、メーカーは賠償責任を負うことになる。

 そして、ハッキングによってデータを改ざんや、最悪の場合は運転を乗っ取られてしまう危険性もある。欧米ではハッカーによる遠隔走行の事例も発生しており、メーカー側はセキュリティレベルを上げる対策をしているが、ハッカーとのいたちごっこになる危険性もある。

 コネクテッド化によって、クルマの活用での利便性が上がるが、その裏には様々なリスクが潜んでいることを、ユーザーも十分認識する必要がある。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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