日産やホンダにマツダも着手! メーカーがクルマの顔を統一化する狙いとは

とくに新興国ではブランドの存在価値を高めるために重要

 スバルやマツダのような中小規模のメーカーは言うにおよばず、トヨタ、日産、ホンダのような世界ビッグ10までもが、ブランド内のデザインテーマを統一する方向に進んでいる。

 国内ビッグ3の中では、「Vモーショングリル」の日産が一番熱心な印象がある。トヨタは国内専用モデルが多いこともあり、まだバラバラだが、それでもグローバルモデルに関しては、「キーンルック」での統一を進めている。ホンダの場合、とくに統一名称的なものはないが、軽を除き、ヘッドライトとグリルが連続するスポーティな顔付きで統一している。

 ブランド内のデザインテーマを統一するのは世界的な傾向で、逆に言えば、日本のメーカーがもっとも遅れていた。ようやく日本にもグローバルな流れが押し寄せた、と言ってもいい。この流れ、いったいナゼなのか?

 答えを探すと、「それがトレンドであり、ブランド化を進める上で不可欠と考えられているから」ということになる。デザインテーマを統一しないと、それなりのシェアがある国内ではともかく、シェアの低い海外市場では、どのメーカーのクルマかひと目で見分けることができず、「どこ製かもわからない安グルマ」と見られやすい(たぶん)。

 このブランド内の統一デザインを世界的なトレンドにしたのは、ドイツメーカーの成功だ。メルセデス、BMWは、昔からデザインを統一しており、一目でそれとわかる。出遅れていたアウディがそれに続き、たゆまぬ努力により、今や完全にドイツ御三家の一角を占めるにいたった。このアウディの成功が、世界を突き動かしたと考えてもいいだろう。

「ブランドイメージがそんなに高くないメーカーが、デザインテーマを統一しても、意味ないんじゃないか?」そう思われる方もいるだろう。確かにわれわれ日本人から見ると、日産のVモーショングリルなどちっともカッコいいと感じないし、逆に「やめたほうがいいんじゃ?」とすら思ったりする。しかし海外、とくに新興国市場では、どこのメーカー製かをアピールすることは、今や不可欠になっている。それがないと、100円ショップの商品みたいに見られてしまう可能性がある。

 日本では、決してブランドイメージが高いとは言えない日産も、海外ではそれなりの地位を築いており、業績は好調だ。そんな日産は、国内専用モデルの絞り込みを進めた結果、ほとんどがグローバルモデルとなり、国内ビッグ3の中では、統一デザイン化を熱心に進めている印象になっている。

 逆にトヨタは、国内登録車市場で5割近いシェアを持っているため、デザインを統一するとどれも同じイメージになり、かえってマイナスになる可能性もあるだろう。


清水草一(永福ランプ) SHIMIZU SOUICHI

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フェラーリ328 GTS/ランボルギーニ ・カウンタック アニバーサリー/BMW 320d(先代)/ダイハツ・ハイゼットトラックジャンボ(90年製)
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