下取り価格はボディカラーでも差が出る! 不人気でも意外に高値の付く色とは

CMなどで使われるイメージカラーは時代遅れになる可能性も

 セールスマンとの値引き交渉もまとまり、いざ正式契約という段階になって多くの人が悩むのがボディカラー選びだろう。そもそも日本では新車購入時の人気ボディカラー選びにおいては、歴史的に見ても不変の人気を誇るのが白系とシルバー系であった。

 白いボディカラーで有名なのは3代目クラウンが“白いクラウン”キャンペーンを展開。“オーナーデラックス”といったグレードも設定し、それまで“黒塗りのハイヤーや社用車”のイメージの強かったクラウンを、白いボディカラーを強調することでオーナーカーとしてのイメージを強調し、オーナードライバーへの販促強化を行っていた。白は雨上がりなどには黒いスジが入ったりして、「サファリパークのクルマみたい」などと言われることもあるが、塗装が強いことも人気の高い理由となっている。

 シルバー(シルバーメタリック)については、昔の日本車のメタリックカラーは長年乗っていると劣化が激しく、「シルバー(メタリック系)は塗装が弱い」ともいわれていた。一方で欧州車、とくにドイツ車は「鉄板が厚くて塗料のノリも良い(オプションカラーのケースが多かった)」などとの情報も広がり、メタリックペイントは憧れのボディカラーにもなっていた。

徐々に日本車のメタリックカラーも丈夫なものとなり、雨天走行時などでの泥はねなども目立ちにくいということもあり、さらに“ガンメタリック”など、グレーメタリック系ボディカラーも含めて人気が高まっていった。ただし、板金修理などを行ったときには、修理箇所とほかの場所との“色合わせ”が難しく、場合によっては露骨に“あそこを修理したな”とわかるようにもなりかねないので注意してもらいたい。

 白系ではソリッド系の白よりは、パールホワイトの人気が鉄板。大抵はオプションカラーとなり、追加料金が発生するのだが、追加で払った分は、ほぼ確実に下取り査定や買い取り額がアップするとされている。

 ただし、中東方面の中古車バイヤーの間では人気がないと聞いたことがある。中東では白のボディカラーが下地色に見え、塗料が塗られていないと思われるとのことであった。

 インドあたりでは、“プライベートタクシー”という、比較的裕福なひとがチャーターしたりして、ひとりで移動のため乗る(インドの一般的なタクシーは相乗りが基本)タクシーのボディカラーが白ということもあるのか、オーナーカーでは白のボディカラーを見かける機会が少なかったと、インドを訪れた時に感じた。

 さらに黒系も根強い人気のあるボディカラーのひとつ。背の高いMPVタイプの軽自動車やミニバンのエアロ系、VIPセダンベース車あたりでは黒系は定番のボディカラーとなっている。ただしソリッド系の黒は塗装が柔らかく、一度カラ拭きでもしようものなら、たちまち塗装表面にうっすらと傷が入ってしまうので神経質になってしまう。しかし、ブラックマイカ系ならばそれほど神経質になる必要もない。とはいえ黒系のボディカラーを選ぶなら、ボディコートを施工することをおすすめしたい。

 エアロ系の軽自動車やミニバン、VIPカーベース車あたりでは定番色となっている黒だが、ほかのクルマでは新車購入時に黒系のボディカラーが選ばれるケースは、“手入れが面倒(汚れも目立つから)”ということもあり少ない。そのため結果的には、中古車では希少ボディカラーとなる車種も多く、下取り査定が好条件になることも多いのである。

 とくに新車購入時から熱心にボディコーティングをかけていればなおさらである。筆者は一度カローラセダン(120系/9代目)のときにブラックマイカを選び、毎年ボディコーティングをかけ直していた。初度登録から4年ほど経ったころにあるディーラーで下取り査定をお願いしたところ。「この年式で洗車傷(うっすらとつく傷)がほぼない」と驚かれたことがある。

 また当時のカローラではあまり黒系は選ばれていなかったので、「カローラとは思えないほど立派に見える」と言われることも多かった。代替え時には海外バイヤーの影響もあったらしいが、数カ月前の査定額より、下取り査定額がアップしているとセールスマンも驚いていた(ボディカラーの影響も大きかったようだ)。

 ただし、闇雲に人気や定番色だからと、とくに白や黒系を選ぶのは気をつけよう。白系は“拡大色”と呼ばれ、同型車の暗色系のボディカラーよりも、クルマが大きく見えてしまうのである。逆に黒系に代表される暗色系のボディカラーは引き締まって見えるのである。ボディサイズの大きいクルマは暗色系を選ぶと、より引き締まって見えるとされている。

 ボディカラーで悩んだときには、セールスマンが持っている“色見本“を見せてもらえるが、これではリアリティがいまひとつ。そんなときは当該ディーラーのストックヤードなどに連れて行ってもらい、購入希望のボディカラーの実車を見せてもらうようにしよう。セールスマンもボディカラーでお客が悩んだ場合は、その場で無理強いして選ばせても後々トラブルになる(納車時に思った色と違うなどとしてキャンセル騒ぎになることもある)よりはと、すんなりとストックヤードへ連れて行ってもらえるケースが多いのである。

 カタログのトップやテレビコマーシャルなどで使われるボディカラーは、大抵そのクルマのイメージカラーとなっている。原色系もあればかなり微妙なメタリックカラーなど、さまざまなイメージカラーがあるが、そのほとんどは下取り査定額や買い取り額はあまり期待できないと考えてもらいたい。新車当時は最新トレンドの色調であっても、数年、数十年乗っていれば、最新トレンドからズレていくのが当たり前なので、“そのクルマの時代”をより強く感じさせる色になってしまうのである。

 ソリッドレッドなどの原色系も全体で見れば、リセールバリューなどを考えると(極端に値落ちするわけではないが、あまり歓迎されないことが多い)新車購入時に手を出しにくいボディカラーだが、軽自動車やコンパクトカーなど、女性ドライバーが多く運転しているカテゴリーにおいては、それほどボディカラーがネガに働くということもない。

 日系ブランド車でいえば、黒系は一部を除けば新車購入時に選ぶひとが少ないので、下取り査定や買取査定額のアップが期待できる。だが白系やシルバー系は“無難な人気色”ということで流通台数も多いので、白(パール系を除く)系やシルバー系だからといってとくに高値になることはないが、ほぼ相場通りの価値判断を受けられる程度になるものと考えていただきたい。

 基本的には自分の好きなボディカラーを選べばいいのだが、個性を意識しすぎると後々「失敗したなあ」ということにもなりかねない。セールスマンにおすすめのボディカラーなどを聞きつつ、悩んだときにはできるだけ実車を見てから判断するようにしてもらいたい。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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