家族のためにガマンして運転はもう古い! 長距離移動のストレスから解放される走り系ミニバン5選

空力性能にこだわった本格的モデルも!

 ファミリーでお出かけするなら、やっぱり何かと便利で頼りになるのはミニバン! ですよね。広い室内は赤ちゃんのオムツ替えや授乳スペースにもなるし、小さな子どもの着替えもラクラク。荷物もたっぷり積めるから、持ち物を厳選する必要なんてナシ。我が家はまだ子どもが0歳のころ、宿泊予定のホテルにシャワーしかないと気がついて、ベビーバスを持って行ったこともありましたが(笑)、アレもコレもぜ〜んぶ積んで出かけられるのも、子連れ旅行には心強いところなんです。

 とはいえ、ずっと運転するパパ(ママ)にとっては、そうそう楽しいばかりではありませんよね。高速走行は気をつかうし、渋滞すればストレスもたまる。到着するころには疲れ果てて、遊ぶ元気なんかないよ〜ってグッタリすることもしばしば。でもじつはそれ、クルマのせいもあるかもしれないんです。世の中には、長距離運転しても驚くほど疲労感が少ないミニバン、ってのも存在しています。今回はそんな、知る人ぞ知る!? パパ想いなミニバンをご紹介しますね。

1)ルノー・カングー

 まず1台目は「意外!」と思うかもしれませんが、フランスからやってきたルノー・カングー。3列シートではありませんが、5人乗り・両側スライドドアのミニバンです。見た目はとってもファニーで、イエローなどポップなカラーも多く、まるでニッコリ微笑む動物のよう。室内は驚くほど天井が高く、その高さを活かした頭上の収納スペースが前席、後席それぞれにあってたくさんの荷物が入ります。2列目シートは3名分が独立しているので、真ん中の席だけ狭い、なんてこともなく5人家族でも使いやすくなっています。

 で、このカングー、本国フランスでは郵便配達車として使われていることで有名です。狭い街中をグルグルと走り回るために小回り性能に長け、1日に何度も配達のために乗り降りすることを想定して、運転しやすさにこだわった設計というのがミソ。そのため、サイドブレーキが手のひらで握りやすいよう、一風変わった形になっています。

 そしてもちろん、長距離を走ることも最初から想定されているので、ガッシリとしていながらしなやかさもある、絶妙なシャシーが特徴です。中央自動車道などの高速カーブが続くシーンなどでも、ビターッと張り付くような安定感を見せてくれるのにはビックリ。私はこのカングーで700kmほど走りましたが、ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)なんてついていないのに、本当に疲れ知らずで楽しく走れたのを思い出します。フレンドリーな雰囲気で子どもや女性にも人気のカングーは、意外にもパパ想いなのでした。

2)三菱デリカD:5

 さてお次は、新型が出ると言われながらなかなか出ない、三菱デリカD:5。3列シート7人/8人乗り・両側スライドドアのミニバンで、現行モデルの登場は2007年のため、インテリアやシートアレンジなどに古さを隠せないのは事実なのですが、乗ってみるとそこらへんのミニバンとはひと味もふた味も違うことを実感するはずです。

 恐竜の骨を思わせるリブボーンフレーム構造によるボディは、とても強靭でちょっとやそっとの悪路じゃボディがよじれることなく、電動スライドドアの開閉もラクラクできるほど。走りのいいSUVであるアウトランダーがベースというだけあって、悪路だけでなく舗装路での走りも見事。前後のロードクリアランスもしっかり取ってあるので、たとえ豪雨で流れ出した障害物に遭遇しても、安心して走り抜けるところもデリカD:5の魅力なんです。

 このガッシリ感と走破性の高さがあれば、長距離ドライブの疲労感だってかなり軽減されるはず。低速からの力強いトルクが得られるディーゼル×AWDがオススメです。

3)フォルクスワーゲン・シャラン

 そしてもう1台、ボディの頑丈さが魅力のミニバンといえば、フォルクスワーゲン・シャラン。3列7人乗り、両側スライドドアで、2列目シートが3名分のセパレートシートになっているのが特徴です。このシャランのボディサイズは、全幅がトヨタ・アルファードより60mm大きいのですが、室内幅はアルファードよりやや狭い。つまり、分厚い壁でぐるりと室内が覆われているような感覚なんですね。

 なので、高速道路での直進安定性がすごく高いし、カーブでのグラつきも抑えられていて、とにかく安心して走れます。全車速追従機能付きACCなど、先進の安全装備がしっかり備わっているのも嬉しいですよね。

4)日産セレナNISMO

 そしてお次はその先進安全装備、プロパイロットのミニバン初搭載で話題となった、日産セレナ。なんですが、長距離を走るファミリーにオススメしたいのは、のちに新登場したセレナNISMOの方です。

 プロパイロットは、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作をクルマが自動で行ってくれるため、長距離走行のストレスを大きく軽減してくれるのが魅力。通常の高速走行はもちろん、ノロノロ渋滞の際にも使えて頼もしい限りなのですが、じつはベーシックなセレナでプロパイロットを作動させると、グラグラとステアリングがブレて横揺れが起こりやすかったり、ブルブルとした不快な振動が多いなという印象。それがセレナNISMOになると、ビシッと落ち着いた挙動になるのです。

 それこそが、モータースポーツで培った空力性能、ボディ剛性、足まわりのチューニングによるNISMOの真骨頂。ボディの要所の施された補強などの効果も相まって、車両の姿勢変化やボディのねじれが抑えられ、プロパイロットもより快適に作動するようになっていると考えられます。セレナNISMOは外観もそんなに派手じゃないし、後席の乗り心地も安定しているので、ファミリーでも抵抗なく乗れると思いますよ。

5)メルセデス・ベンツ Vクラス

 さて、最後にご紹介するのはメルセデス・ベンツ唯一のミニバン、Vクラス。全長が4905mmの標準ボディと、5150mmのロング、5380mmのエクストラロングと3タイプ揃い、全車2.2リッターディーゼルエンジンを搭載する3列シート7人乗り、両側スライドドアの迫力あるモデルです。

 見た目はデカッ! と思うかもしれませんが、FRレイアウトを採用しているので意外にも小回り性能は高いのでご安心を。ホイールベースも標準&ロングボディで3200mm、エクストラロングで3430mmとかなり長く(たとえばアルファードは3000mm)、高速道路での直進安定性はバッチリ。しかも、走行状況に応じて減衰力を調整してくれるセレクティブダンピングシステム「AGILITY CONTROL」を採用する足まわりは、コーナリングも得意なので快適に走れます。

 さらに、80km/h以上で走行中に横風を受けて走行ラインが乱れそうだとESPが判断すると、片側のブレーキを制御して走行ラインをキープしてくれる「クロスウインドアシスト」も搭載されているので、風の強い日や海を渡る橋の上などでも安心。こうした、目に見えないさまざまな先進技術で守ってくれるVクラスは、長距離ドライブにぴったりですよね。

 そんなわけで、ちょっと意外なモデルもあったかもしれませんが、5台のミニバンをご紹介しました。これから年末年始に向けて長距離ドライブが増えてくると思います。運転するパパが少しでもラクに、満足できるミニバンがあれば、もっとファミリーのお出かけも楽しめるようになりそうですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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