【試乗】キャデラックXT5&エスカレードは強烈なデザイン個性と裏腹に「意外に普通」の走り

これぞアメリカンSUV! エスカレードのど迫力っぷり

 今やクルマ好きの間じゃ大人気のSUVながら、改めて説明するまでもなくアメリカで育ったジャンルである。SUVの販売台数を見ると圧倒的にアメリカが多い。ということで今回試乗したキャデラックの『XT5』と『エスカレード』は本家SUVということになります。しかも私、相当のキャデラック好きだったりして。

 まず「怖い物見たさ」でエスカレードから紹介したい。実車を見て驚くのがボディサイズ! 全長5195mm×全幅2065mmと巨大! なかでも車幅は日本のマイクロバスと同等。スタイルだって押し出し超効く! アメリカ大統領の護衛車両などにも使われており、ハリウッド映画のVIP車両として登場したりします。

 価格だって1260万円とパンチ力あります。搭載されているエンジンは6153cccのV8。最高出力426馬力/623N・mで強力。8速ATと組み合わされている。車重2670kgと案外軽いため、馬力と車重を2分の1にして考えれば、1335kgのボディに213馬力のエンジン積んだクルマの走りをイメージしていただければOK。

 Dレンジをセレクトしてアクセル踏むと、やさしく加速すれば滑らかに。元気に踏み込むや「ぐもももも!」というV8特有のビートを響かせ傲然と加速していく。ハンドリングと言えば、ソフトでロールこそするけれど、案外粘り普通のSUVと変わらない。ただ285/65R22という巨大なタイヤのためか、乗り心地はドタバタ気味。

 室内やいかに? 運転席と2列目シートは余裕タップリ! 身長2mで130kgくらいある大柄な人でもストレスなく座れる。アルファードやヴェルファイアじゃツマらん、というお金持ちにすすめておく。ただ3列目シートについちゃ「予備」だと割り切ること。そうそう。BOSEのオーディオ、迫力ある音で鳴ります!

ミドルクラスSUVのXT5は不満もないが個性もなし

 続いて新世代の『XT5』。このクルマは輸入車で売れ筋となっているボルボXC60や、BMWのX3、アウディQ5、ポルシェ・カイエンと同じクラス。全長4825mm×1915mmに、314馬力の3649ccV6を搭載している。欧州車の場合、エンジンが2000cc級のダウンサイジングターボになります。価格も上級グレードで699万円。

 エクステリア&雰囲気はキャデラックらしさを感じさせる。ご存じの通りキャデラックってアメリカでも高級車。信頼性からしてシボレーやフォードまったく違う。キャデラックに乗っていればお金持ちです。インテリアも写真を見て頂ければわかる通り、シック。革と木目の色使いが上手。少なくともレクサスなどよりオシャレだ。

 乗るとどうか? 結論から先に書くと「普通」ということになる。飛び抜けた性能なし。ドイツ車のような繊細かつ剛性感の高い快適さなく、ボルボのような安心感もなし。強いて言えばレクサスRXのように少し剛性感足りず、少し乗り心地がゴツゴツしているが、これといった不満なく走ってくれるというもの。評論家は紹介に困るタイプです。

 マクドナルドのビッグマックのように、普通に美味しくて普通にボリュームあるが、それを紹介しろと言われた途端、書くことないという感じ。強いて言えば私の場合、キャデラックであることに魅力を感じるけれど、キャデラック好き以外だとストロングポイント見つからず。むしろ数年後のリセールバリューなど厳しく買いにくい?

 また、自動ブレーキに代表される安全デバイスも付いているようだけれど、性能はまったく不明。カタログやプレスリリースに記載されおらず、キャデラックを輸入しているGMジャパンの担当者に聞いたら「お客さんからそういった問い合わせないためわからないです」。アメリカ車を買う人はいろんな意味で大らかなんですね、と思った。

試乗車スペック

車種:CADILLAC ESCALADE
全長×全幅×全高(mm):5195×2065×1910
エンジンタイプ:V8OHV
総排気量:6153cc
最高出力:313kW(426PS)/5600rpm
最大トルク:623N・m(63.5kg-m)・4100rpm
トランスミッション:8速AT
価格:1260万9000円(税込)

車種:CADILLAC XT5 CROSSOVER
全長×全幅×全高(mm):4825×1915×1700
エンジンタイプ:V6DOHC
総排気量:3649cc
最高出力:231kW(314PS)/6700rpm
最大トルク:368N・m(37.5kg-m)/5000rpm
トランスミッション:8速AT
価格:668万5200円(税込)


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