国交省がチェーン義務化! スタッドレスタイヤだけではダメなワケ

埋もれるような豪雪エリアや凍結した坂道などはチェーンが有効

 国土交通省が、チェーン規制等に関する改正案のパブリックコメントを開始したことが話題を集めている。すでにスタッドレスタイヤ(スノータイヤ)が普及している実情を踏まえると、タイヤチェーンのみを基準に規制するのは非現実的という意見もある。

 しかし、「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」についていえば、『大雪時の道路交通の確保のためにいわゆるチェーン規制を実施すべき』ということが理由となっている。記憶に新しいところでは2018年2月に、福井県内で大雪のために1500台規模で立ち往生が発生し、一酸化炭素中毒による死亡者まで出たという事象があった。

 現時点ではチェーン規制の運用について明確になっていないが、基本的にはこうした立ち往生するケースを前提に、大雪が予測されるときにチェーン規制を敷こうということのようだ。つまり、スタッドレスタイヤを履いていることは前提でのチェーン規制といえる。とはいえ、いまどきの技術水準からするとチェーンよりスタッドレスタイヤのほうが雪道に強い、という意見もあるだろう。

 たしかに、圧雪路においてはスタッドレスタイヤの性能はチェーンを超えている部分もあるし、サマータイヤの駆動輪にだけチェーンを装着した状態よりも四輪にスタッドレスタイヤを履いているほうが性能面で優位なのは明らかだ。

 しかし、今回テーマとしているのは『大雪時の道路交通の確保』という文言からもわかるように、雪国における大規模な立ち往生である。積雪100cmを超えるような状況ではスタッドレスタイヤでは対応できない。そうした深雪・新雪をかきわけるラッセル走行においてチェーン装着は有効だ。

 もっとも、そういった場所での走行には、大型トラックやクロカン4WDのような最低地上高を確保している必要もあり、乗用車ではクルマの前に雪が溜まってしまい前に進めないかもしれないが……。また、そうした大規模なエリアではなく、チェーン規制が必要になるであろうと予想される場所もある。それが凍結した坂道だ。

 いまどきのスタッドレスタイヤは凍結路にも強くなっているが、それでもスパイクのように路面に食い込むことのできるチェーンは、凍結路において明確なアドバンテージを持つ。ミラーバーン状態の坂道発進など厳しい状況に対応するには、スタッドレスタイヤ+チェーンというのが最強であり、そうした場所を示す標識として「チェーン規制」が適切に使われることを願ってやまない。

 【詳しくはこちら】

 国土交通省:チェーン規制等に関する改正案のパブリックコメント


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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