【ニッポンの名車】クラウンは残るがコチラは消滅! 日本を代表する高級車だった日産セドリック&グロリア

もともとはまったく別のクルマだったが後に兄弟車に

 トヨタ・クラウンと肩を並べた、日産を代表するアッパーミドルサルーンといえば、セドリックとグロリアだ。今や絶版となり、最後まで残っていた、タクシー向けのセドリックセダンも今やない。

 日産はその昔、イギリスのオースチンと提携していたことをご存知だろうか? 今じゃ考えられないことだが、技術供与で提携していたのだが、その流れを汲んだのが、じつは初代セドリックだ。イギリススタイルではあるし、5ナンバーフルサイズで、当時としては威風堂々な感じだった。

 2代目セドリックはデザインをイタリアのピニンファリーナが手がけたことで、かなりアカ抜けた印象となった。相当スタイリッシュだったがあまりウケはよくなく、マイナーチェンジのたびにスタイルを変更し、せっかくのピニンファリーナデザインが跡形もなくなるほどだった。

 インテリアではウッドパネやレザーシートも備えていた。エンジンは初代の最後では2.8リッターも用意されたが、2代目は2リッターのみ。6気筒と4気筒が用意され、同じ2リッター6気筒でもOHCとOHVの2タイプがあった。

 兄弟車であるグロリアは2代目セドリック(グロリアは3代目まで)までは別モノで、そもそもルーツが違う。スカイラインとフェアレディと同じように、セドリックは日産で、グロリアはかのプリンスがルーツ。合併によってどちらも日産となり、3代目以降は販売店違いの兄弟車として統合された。ちなみに車名の由来は、グロリアは栄光という意味。一方のセドリックは小公女の主人公の名前から取ったもので、善意と優しさにちなんだものとなる。

 グロリアは、初代がスカイラインの上級に位置するセダンとして登場。ボディサイズも大きく、3ナンバー車だった(現在と区分が異なるが)。そして2代目はアメリカンデザインの影響を強く受けたもので、1.9リッター4気筒に加えて、日本初のOHCである6気筒も追加している。

 そしてプリンスオリジナルモデルの最期となるのが3代目だ。すでに日産とプリンスは合併していたが、開発自体はそれ以前から進められていたので、セドリックとは別のデザイン、内容で登場した。2代目同様にアメ車の影響を強く受けていて、4灯ヘッドライトが横ではなく、縦にならんでいることから、縦グロの愛称で今でも親しまれている。

 エンジンは4気筒から6気筒までいろいろな種類が用意されていたが、6気筒はプリンス系の名機であるG7を搭載していた。ただし、途中のマイナーチェンジで日産のL6型に変更はされている。

 そして1971年登場の3代目セドリックと4代目グロリアはバッヂエンジニアリングの兄弟車となる。いかにもセドグロらしい時代がこのあたりで、強い押しのデザインは独得の雰囲気。今では名ばかりのハードトップばかりだが、ピラーレスとした本格派だった。この時代はオイルショックと排ガス規制のダブルパンチ。各メーカーとも対応したものの、軒並みパワーダウンとなる。

 セドグロもNAPSで対応し、その真価を世に問うたのだったが……。実際はパワー不足と不満は噴出してしまった。ただし、販売的には歴代で唯一、クラウンの販売台数を上まわった代である。

 1979年に登場した5代目セドリック&6代目グロリアでの最大のトピックが日本初のターボ車(量産車)ということ。さらにそれだけじゃないのがさすが技術の日産。まだ日本初があって、それがマイコン(マイクロコンピュータ)によるエンジン集中電子制御システム。マイコンというのは死語だが、最先端の言葉だった。

 6代目では、先代のターボなどに続き今度はV6を日本車初で採用していたし、ラジオが「局名表示電子チューナー」は世界初だった。7代目は若々しく躍動感あふれる上質なクルマがコンセプトで、いかにもバブル期らしく、ターボがセラミックというのは、まさにこの時代の象徴と言っていいだろう。

 7代目セドリックが登場した1987年というのもバブルだっただけ、ハイクオリティパーソナルサルーンというコンセプトだったが、少々身内のシーマに押され気味ではあった。

 そして9代目では新世代のV6ユニットである、VQの採用がトピックスで、ターボと組み合わせることで270馬力を誇った。また丸目4灯のグランツーリスモもヒットした。

 そして1999年に登場した10代目では、新世代のCVTとして大いに話題なった「エクストロイドCVT」が採用された。これはベルトに代えて金属球を使ったCVTで、ハイパワーにも対応したものというのがウリだった。世界初の採用だったが、人気は出ず、エンジンのパワーがダウンするなど迷走して、ついには2004年にはフーガにその道を譲り、消滅してしまった。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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